「あの毒舌美少女、教室復帰だってー」
「え、やだ。ウザイんだけど。あの子苦手」
「うちも苦手。空気超読まないし」

　一瞬で窓を閉める私。
　聞きたくない現実が耳に入って、頭を抱えた。
　窓を閉めても女の子たちの笑い声は聞こえてくる。
　悪意のある、可愛くない笑い声だ。ネッチョリとした声で、可憐ちゃんのことを悪く言う彼女たちには水をかけたい気持ちになる。
　可憐ちゃんの事を上っ面だけしか知らない癖に。
　どうせ、見た目で判断している癖に。

　バーカ。
　そう言えればどんなに爽快か。
　無理。そんな勇気ない。
　あればとっくに教室に戻れている。うん。

「僕らとか、別に悪くないよな。保健室にいてもいいよな。なあ、明日花」
「稔」
「疾風や可憐が特別勇気あるだけで、僕らは弱虫なんかじゃないし、悪くない。お前もそう思うだろう？　明日花」
「う、うん。そう、だよね……」

　混戦する思考の中私は首を縦に振る。