なんて、幼稚な対策方法。でも、それぐらいしか私たちにはできることはなくて。
 (いびつ)な時間がどんどん流れるごとに、胃が(きし)んでいく。
 保健室って、こんなに居心地が悪かったっけ?
 そう思い悩み、泣きそうになっていた時。

「はいはい。みんな集合!!」

 保健室の先生がパンパンと手を叩いて歩いてきた。
 みんなが何だ何だと顔を上げて手を止める。

「先生もまーぜて」
「は、はあ」

 稔の隣に座った保健室の先生はニコニコ言った。
 手には紅茶を持っている。
 完全に居座るつもりだ。
 保健室の先生はみんなの分のカップとソーサーも用意して紅茶を(そそ)いでくれた。

「先生から話したいことがあるんだけど、聞いてくれるかな?」
「えーっと、その」

 見つめられた私は頷くしかない。
 みんなも困惑気味に頷く。
 だって、保健室の先生っていつも最低限しか話さない、空気みたいな人だから。
 多分、それは故意なんだろうけれど。そんな先生が自分からこっちにきたら、さすがにビックリするよね。

 先生は改めて私たちを一周見回した後、ため息を露骨についた。

「今日は、先生の過去を話したいと思います」