「わかっているんだ。すぐには元に戻れないって。俺の居場所は、教室にはまだないんだって、わかっているよ。こういう反応がある覚悟はさすがにしていた。だからみんなも気にしなくていい」
「でも」
「いいんだよ。稔。それでも俺が変わらなきゃ何も変わらない。保健室にいるままじゃ、ずっとそのままどころか卒業したら俺は路頭に迷う」
「疾風」

 思わず私は疾風の名前を呼んだ。

「それは、俺の場合は自業自得だからな。自分の人生最後は自分が責任をしっかり持つんだ。だから、俺は自分の意志で動いて、やりたいように生きれるように努力しだした。それだけだ」
「…………」

 私と可憐ちゃんは無言になる。

「お前だって漫画があるだろ、稔」
「それはそうだけど」

 稔が少し嬉しそうな顔をした。疾風もにっこり笑う。
 そして時計を見て小さく頷く疾風。
 そういえばそろそろ昼休みが終わる頃だ。