やっぱりあたし、疾風に戻ってきて欲しいよ。だってまだ疾風不安定だし、心配だもん」
次の日、保健室の中で可憐ちゃんが迷いなく言い出した。
「どう思う? ふたりとも」
「えー、と、私は」
私が答えられないまま迷うと、
「僕もそう思う」
と稔が答えた。私は正直そう思わないのに、反論ができない。困ってしまい俯く私。昼休みになって、みんな暇そうに廊下でうろうろしている。そんな中、可憐ちゃんは勢いよく廊下に飛び出した。
「行こう! 疾風を迎えに行こうよ!」
「可憐ちゃん! ちょっと」
「うん、行こう。可憐。明日花」
「稔! 待ってよ!」
バタバタしながら廊下に出て、私たちは走り出そうとした。
その時だった。
三年生の校章をつけた生徒たちが歩いてきたのは。
男女ふたりずつ、少し日焼けた肌を見た感じ運動部所属の先輩たちかもしれない。わざわざ周りを見渡して、顔を見合わせた後にため息をついている。