それからの疾風のいない毎日は、いつも通りにしていてもどこか物足りなくて。
 寂しさで心が締め付けられるようだった。
 保健室の中には保健室の先生も一応いるし可憐ちゃんも稔もいる。
 それなのにふたりと一緒にいるのに、つまらないなんて失礼だってわかっている。
 だけれど物足りない。
 炭酸の抜けたコーラを飲んでいるような空虚感。

「明日花ちゃん、トランプしよう?」
「うん。可憐ちゃん。疾風もやろー……って、あ」
「……明日花ちゃん」
「ごめん、つい」
「わかる、わかるよ。なんか……ね」

 可憐ちゃんはそう言って無言になる。
 疾風が出て行って三日目。
 まだ、私たちの中で疾風は保健室の仲間だから。
 ううん、まだ、じゃない。

 永遠に疾風は私たちの仲間でいてほしい。
 いや、本人がもう違うと言おうが私の中では疾風はずっと仲間だと思う。
 短いと人は笑うかもしれない。
 だけれどかけがえのない時間を一緒に過ごしてきた大切な仲間だ。
 存在を死ぬまで忘れることもない、一生の仲間だ。
 そう思うなら追いかけろ。