そりゃ、今いるみんなは受け入れてくれるだろうけれど。
 下手すれば学校自体が怖くなってしまうかもしれない。
 でも、もし戻る場所にみんながいなかったら?

 教室にいるなら、まだいい。
 不登校になっていたら、自分も、と思うかもしれない。
 負の連鎖だ。それもきっとみんなが怯えている事だ。

 特に一番しっかりしている疾風がダメだったら自分たちも、と考えるのは普通の事だと私は思う。
 
 人気者で、今でも嫌われてない疾風が一番チャンスがあるからこそ、教室へ行って失敗して欲しくない。
 もし疾風が失敗したら、疾風だけの問題じゃない。私たちもまとめて無理、ダメって否定された気になってしまうし。
 こんなの自分勝手なワガママだってわかっているけれど。

「寂しいよ、疾風」

 私は絞り出すように言った。
 だけれど、止めるような言葉は罪悪感から出せずにいた。
 わかっている。
 ほんとうは私たちは疾風を引き留めるべきじゃないって事ぐらい。
 疾風だって限界なのだ。
 ギリギリなのだ。
 勇気を出して精一杯頑張っているところなのだ。