「最近疾風ってば変だよね」
稔が漫画の原稿の手を止めて、休み時間に言った。
「ちょくちょく保健室から消えるし。今もだけどどこに行っているんだろうね?」
「さあ。教えてくれないし。あたし知らない」
可憐ちゃんがふて腐れた様子で答えた。本当に、どこに行ったのやら。
そして帰ってくる疾風はいつだって元気があまりなくて。
どこか決意に満ちた表情で俯いているのだ。
「ま、受験生だからだろうけど」
稔が突き放すように言って原稿の手を動かす。
受験生、かあ。人生の別れ道だよね。私も、いつかは。
「前はサッカー推薦だったんでしょ。疾風。怪我でなくなったのかもだけど」
「そうなんだ? 可憐ちゃん」
「噂になったよ。超名門高校」
「へえ。そんなにサッカー強かったの?」
「うん。めっちゃ目立っていた。見たことないの? 明日花ちゃんは。疾風のあのドリブル捌(さば)き」
稔が漫画の原稿の手を止めて、休み時間に言った。
「ちょくちょく保健室から消えるし。今もだけどどこに行っているんだろうね?」
「さあ。教えてくれないし。あたし知らない」
可憐ちゃんがふて腐れた様子で答えた。本当に、どこに行ったのやら。
そして帰ってくる疾風はいつだって元気があまりなくて。
どこか決意に満ちた表情で俯いているのだ。
「ま、受験生だからだろうけど」
稔が突き放すように言って原稿の手を動かす。
受験生、かあ。人生の別れ道だよね。私も、いつかは。
「前はサッカー推薦だったんでしょ。疾風。怪我でなくなったのかもだけど」
「そうなんだ? 可憐ちゃん」
「噂になったよ。超名門高校」
「へえ。そんなにサッカー強かったの?」
「うん。めっちゃ目立っていた。見たことないの? 明日花ちゃんは。疾風のあのドリブル捌(さば)き」