「ふむ……ここはこうかな」

 ボソボソと独り言を言う疾風はずっと手を動かし続けている。
 周りはマイペースなのか空気を読んでか真剣に作業をしている。
 私もそれに混じって自習。保健室の先生も、そんな疾風を支援しに指導したりもする。
 休み時間もろくに話さない。
 給食だって、そんな感じ。
 そんな日が、数日続いた。

「はい。疾風、紅茶」

 だけれどさすがに落ち着かなくて勇気を出して疾風に声をかける。

「ありがとう明日花」
「疾風。根を詰めすぎたらダメだよ。受験?」
「まあ、そんな感じ。ん。美味しい」

 会話が続かない。
 いつもみたいに雑談がしたいのに。
 どこか緊張している様子の疾風。何故だろう?