その日の空はどこか寂しそうに見えた。
いつも通りの朝のはずなのに、なんとなく不安な予感がして飛び起きた。
怖い夢でも見たわけでもないのに、冷や汗が走る。
保健室へ行かなくちゃ。

本能的にそう思った。
せわしなく支度をして朝食を食べて学校へ向かう。
すると、そこには疾風以外のふたりが先についていた。

可憐ちゃんは雑誌を読んでいて、稔は原稿を描いている。
いつも通りの保健室の風景。でも、疾風はどこだろうか。

「おはよう、ふたりとも」
「明日花ちゃんおはよう」
「ん。おはよう、明日花」

 怖い、と思った。

 その場に疾風がいないことがすごく怖いと思った。
 不安すぎて訳がわからないこの衝動に、不安だけど私も席に座り文庫本を開く。