「明日花? もういいのか?」
「うん、パパ!」

 ダメ、ダメ。ここにいちゃ。私絶対、余計な言葉を口走る! むしろパパたちも口走る気が。
「パパ、ママ。おやすみなさい!」
「おやすみ! 明日花!」

 パパのハツラツすぎる笑顔と言葉に、私は俯きながらご飯をかき込んで現実から逃げた。遠くからはママの声も聞こえてくる。もう、耳を(ふさ)ぎたい。
 一目散に部屋に行く。ベッドの上に飛び乗る。すると、胃の中に鍋があるみたいに、何かがグツグツぐるぐると熱くて、私は吐きそうになった。

「はあ」

昔仲良く村のみんなで撮った写真を、ボーッと眺める。私と同じ、そんなオシャレじゃないけれど、明るい笑顔いっぱいの幸せそうな友達。
ここでなら、私はいつだって普通でいられたのに。


***