「頑張ります、先生」 真っ先に返事をしたのは疾風だった。 「広瀬君は、受験生なんだからしっかりね」 「はい」 笑顔の疾風は、少し顔が白い。やっぱり振られたくはない話題なのだろう。 とりあえず授業中なので、私はワークを開く。何かしてないとさすがに後ろめたいからだ。紅茶を一口飲んで、ワークを見つめる。私たちがやらなきゃいけないことは、意外に多い。 青い空が少し曇り空に変わっていくのが、なんだか不吉で嫌な気分だった。 ***