「頑張ります、先生」

 真っ先に返事をしたのは疾風だった。

「広瀬君は、受験生なんだからしっかりね」
「はい」
  笑顔の疾風は、少し顔が白い。やっぱり振られたくはない話題なのだろう。
  とりあえず授業中なので、私はワークを開く。何かしてないとさすがに後ろめたいからだ。紅茶を一口飲んで、ワークを見つめる。私たちがやらなきゃいけないことは、意外に多い。
 
青い空が少し曇り空に変わっていくのが、なんだか不吉で嫌な気分だった。

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