だと思っていたら。そこに可憐ちゃんと稔もいたのだった。
 真由と可憐ちゃんの目が合う。少し動揺して逃げようとする可憐ちゃんの目は、泣いた様子があった。
 稔が可憐ちゃんの手を握ってあげているのが微笑ましい。

「可憐」

 真由が可憐ちゃんの名前を呼んだ。

「ごめん、可憐こっち来て」
「いや」
「お願いだから、謝らせて」
「絶対嫌。謝られたら許さなきゃいけなくなるから」

 突っぱねるような可憐ちゃんの言葉には、なんとなく同意できた。
 本当は可憐ちゃんは真由を絶対に許したくないのだ。
 数か月の青春を奪って、自分を苦しめた真由を。
 このドラマティックな流れで外野がいると、どうしても許さないといけない雰囲気は確かにあるし。

「あたしは、真由のせいだけで教室に行けなくなったわけじゃないし、自分の壁は自分で乗り越える」

 可憐ちゃんは強い口調でピシャンと言い切った。

「真由のことは嫌い。好きになることもない。関わりたくもない。だから、仲直りみたいなのはしたくない」

 淡々と言う可憐ちゃん。