「義務とかじゃなくてさー。場の雰囲気悪くするじゃん」
「だから? 個人の自由でしょ。それも真由視点の空気じゃないの? それ」
「うるさい! うるさい!! うちらがクラスの中心なんだからいいでしょ。地味で冴えないグループやボッチは影に隠れてろ!!」
「自己中。私は可憐ちゃんより真由の方が性格悪いと思うし嫌い」
 
 バッサリ言い捨ててから、冷静になる。
 そして後ろから拍手が聞こえた。

「うん、俺も真由ちゃんは嫌いだな」
「疾風」
「広瀬先輩」

 疾風の唐突な乱入にふたりで振り返る。呆れ顔かと思えば、冷静な顔で疾風は私たちを見ていた。
 どこか疾風の真由を見る目が冷たい。

「クラスのカーストとか、そんなの関係ないって俺は思うし。あったとしても自分が上位だからって威張っているのは最高にダサいと思うね」
「広瀬先輩だって上位カーストだったはずじゃないですか!」

 ヒステリックな真由。
 周りが耳を塞ぐ。
 気がつけば次第に周りに人混みができていた。チャイムだってもう鳴りそうだし。