私は受験について深く聞くことができないまま、ボケッとその場に立ち尽くす。
 受験かぁ。私も、二年後は受験生だ。
 疾風と同じ高校に行ければいいのに。
 なんてさすがに恋愛脳すぎるかな。
 一緒に青春、一年だけでも過ごしたいよ。
 文化祭に、体育祭。きっと疾風は体育祭のヒーローなんだろうなあ。
 絶対カッコいいに決まっている。
 正直生で見たい。けど……実は疾風って頭もいいからなぁ。
 なーんて。妄想しちゃっている場合じゃない。真由、真由。

「ほら、早く図書館行かないと休み時間終わるよ。疾風」
「そうだな、って……うわっ」
「キャ!?」

 唐突に、誰かが私たちを押すようにぶつかって来た。
 接近しまくる私たち。
 唇と唇が触れ合いそうなくらい、近い。 

 慌ててふたり、突き放すように離れる。