「別に仲良しじゃないし」

 相変わらずの切り返しを稔がする。

「あたしたち永遠に友達の仲良しだもん。離れても、親友だもん」

 なぜか可憐ちゃんが泣き出しそうな声で言った。きっと怖いことでも考えていたのだろう。
 なんとなく私にも内容が想像つく。

「そうだね。私たち、ずっと友達だよね!」

 励ますように私は言った。

「おう! 絶対な! いつか同窓会しようぜ」
「それよりも!」

 疾風が嬉しそうに言って、その言葉に稔が張り合うように前に出る。

「僕の漫画がアニメ化とか映画化したら祝いに来いよ! みんな」
「あたしが実写化に出てあげるわよ! ヒロインヒロイン」
「可憐の実写ヒロインなんかいらない」
「何ですって!? 稔!」

 あはは、とみんなで笑っていつものように騒ぐ。
 私たちにとってのありきたりな日常は、本当に賑やかで楽しい。
 だけれどそれは、今だけのものなんだ。
 そう、私だってわかってる。
 わかりきっている。
 本当はとっくに。

***