それは、疾風にだけじゃない。
 可憐ちゃんにも、稔にも。
 暗黙の了解で聞いていけないことのように感じる。私だって、聞かれても困るし。
 私は高校をどうするの?

 進みたい学校も、行きたい高校も大学もない。なりたい夢も、憧れの職業さえもまったくない。
 ただ普通に生きられればとは思うけれど、そんな曖昧(あいまい)な目標で生きていけるのだろうか。
 考えるだけで不安になってくる。

 今みたいにみんなが私を守ってくれるわけではない。
 そんな新しい学年や、高校という空間がすごく恐怖の塊に思えてしまう。そこでまた、私が挫折(ざせつ)したら。 
 その時は誰が助けてくれるのだろう。
 もう二度と、立ち直れない気がする。

「お、みんな仲良しじゃん」

 疾風が私たちに気づいて寄ってくる。