何だか初々しくてお似合いだなぁ。
稔は才能あって、前髪上げれば美形だし、可憐ちゃんは言うまでもない美少女だもの。
絵になるんだろうなあ。はあ。
私も可愛くなれるように頑張ろう。
最近私はお金のかからないおしゃれ、頑張ってるんだよ。シャンプーの前にブラッシングするとか! そういう手間な事!
お小遣いで可愛いブラシを買ってさ。可憐ちゃんが雑誌で紹介してたやつ。
「それにしても、どんどん夏休みが近づいてくるね」
ボソリと可憐ちゃんがつぶやく。
もうすぐ夏休みだと思うと頭の中に不安が溢れる。
次の始業式に、笑顔で来れるかどうか。怖くて怖くてたまらなくなる。
本に夢中な疾風以外、みんなが遠くを見つめていた。
受験生の疾風は、もっと具体的にそういう感情に押しつぶされそうになっているのかも知れない。
受験については一切語らない疾風。
それはある意味疾風なりの、こちら側への気遣いでもあるのかも知れない。
高校に行ったら、私たちは離れ離れになる。その筆頭は疾風だ。
疾風はどこの高校に行くのだろう。
サッカー部があるところ?
それとも疾風には他に夢があるのかな?
そんな話題を振らないようにしているから、私は彼の進路について一つも情報を知らないままだ。