私たちは間違えてしまっていたのかもしれない。
 だけれどあの間違いは大正解だったと今は思うのだ。
 何故(なぜ)なら間違えたからこそ、あの保健室にたどり着いたのだから。

(なつ)かしいな」

 あの頃の写真を見て、私は微笑(ほほえ)む。

「出会えてよかったな。みんなに」

 ――あの頃、保健室は私たちを守る小さな砦(とりで)だった。そこにいれば私たちは子供らしく無邪気でいられた。
 包み込まれるような安心感に、癒(いや)されながらどこか罪悪感を覚えて。
 だけれど、今はそんな毎日が、切なくて愛(いと)おしくもあった。

 これから話すのは、死にたい夜を何度も乗り越えた私と、その仲間たちの物語。
 
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