宿泊研修を終え、杏菜ちゃんがグループに加わった。
 移動教室もトイレに行くときも下校するときも一緒。

 その度に違和感があった。
 私が"寄っていっている"感じで、2人は私がいなくても普通にしているように見える。
 授業が終わるごとに美海ちゃんが杏菜ちゃんの席に移動して、そのまま話し始めている。私の方が美海ちゃんと席が近いのに。

 昨日授業で2人組を作ることになった時なんて、美海ちゃんは真っ先に杏菜ちゃんの元へ向かった。その時には杏菜ちゃんは他の子と2人組になっていたみたいだけど。
 困ってキョロキョロしている美海ちゃんに話しかけると「あ、よかった。綾乃ちゃんがいた」と言って安堵の笑みを浮かべた。
 それとは対照的に私の心は凍てついた。まるで私の存在なんて頭から抜け落ちていたかのように聞こえたからだ。
 私は最初から美海ちゃんと組もうと思っていたのに、美海ちゃんはそうではなかった。それが悲しい。

 小学生の頃「クラスで一番仲がいい子」を題材に作文を書かされたことがある。そのときはまゆかがいたから困ることはなかったが、今それをやられたら私は確実に詰む。

 私が1番だと思っている子の1番は、私ではないから。

 無謀な片思いしているみたいだ。
 誰が誰を1番に選んでもいいのに、つい私を選んでと言いたくなる。こんな子供じみたことを考えてしまう私が嫌い。

 いつもならすぐまゆかに相談したんだろうけど、新しい友達が出来たところを見たせいか言いづらい。まともに友達が出来ていないのが私だけだと確定してしまうのが怖い。
 私は現実から逃げている。
 そんな不安を抱えたまま夏休みに突入した。

(毎日会わなくていいの、丁度いいのかも)

 というか夏休みに入って以来、家族以外と会っていない。一応地元の花火大会はまゆかと行く約束をしているが、それ以外は何もない。

 暇を持て余してスマホをいじっていると、美海ちゃんと杏菜ちゃんのLINEのアイコンがペア画になっていることに気づいた。しかも2人の自撮りだから、一緒に遊んだということが分かる。

 心臓が締めつけられたように錯覚した。

 見たくないのに、忘れてしまいたいのにそのアイコンを凝視してしまう。

 ハブられたというわけではない。だって2人にとってはこれが当たり前だと思うから。
 グループは2人で完結していて、私はただの部外者だったのだろう。
 美海ちゃんにとって私は、友達ができるまでの橋渡しに過ぎなかったのかもしれない。私だってそんなことを無意識に思っていたのだろう。だから杏菜ちゃんと仲良くなろうとした。
 お互い様だった。
 私達は友達ではあるかもしれない。でもそれは学校限定のビジネス的な友達。一学期の間ずっと一緒に行動していたけれど、何も意味がなかった。

(やっぱり、私っていてもいなくてもいいのかな・・・?)

 泣くのを我慢して、クッションをギュッと抱きしめた。

 私が2人と遊ぶことは、ただの1度もなかった。