それから私は美海ちゃんといることが多くなった。
趣味は合わないけど、お互い新しい友達がまだ出来ないので一緒にいる。
宿題の範囲や授業で分からなかったこと、担任の先生がやらかしたことなど、当たり障りのない会話を繰り返す。
そんな感じだ。
「それと今度の宿泊研修についてですがー・・・」
ボーッと担任の先生の話を聞き流していると、宿泊研修という単語が聞こえてハッとする。
(もうすぐ宿泊研修じゃん!班はどうなるんだろ・・・?美海ちゃんと一緒になれるといいな)
中学一年生は毎年1泊2日で山の学校に研修に行くことになっている。小学校では海事研修と修学旅行でしか泊まりの行事がなかったため、初めての山の学校に胸を躍らせていた。
その矢先、先生から衝撃の一言が発せられた。
「班はくじ引きで決めさせてもらいます」
(え、えぇぇえええ!?先生酷くない!?)
クラスのみんなも動揺している。
「少し抵抗があるかもしれませんが、これはいろんな人と交流するためなので、この宿泊研修を通して仲を深めてください」
(そ、そんなぁ・・・)
抵抗感なんて少しどころではない。とてつもない、だ。
話を聞いていくと、どうやらこの学校の伝統らしい。そんなの聞いてない。
せめて話しやすい女子と一緒になれますように、と祈らずにはいられなかった。
それからくじ引きをして、同じ班になったのは村野杏菜さん、宮下亮太くん、それと圭。村野さんとは一回も喋ったことないし、宮下くんとももちろんない。せめてもの救いは圭だけ。
(こんなのでまともにオリエンテーリングとか出来るの!?不安要素しかない!)
チラッと圭の様子を伺うが、余裕の表情を浮かべている。
(まぁ圭ってクラスの人気者だからねー?いいよねー?そういう人は!)
ほぼ投げやりに心でなげいていると、先生がまた新たな指示をした。
「班が決まりましたね?それではその班の中で役割を決めてください」
(!?)
班の係には班長、調理管理係、地図・案内係、キャンプファイヤー係がある。
班長は先生からお知らせを聞いたり、班の人達の体調を心がけたり、代表で発表したりする。
調理管理係は野外炊事するときの片付けや道具の管理。
地図・案内係はオリエンテーリングの地図をもって、道案内をする。
キャンプファイヤー係はキャンプファイヤーするときの薪割りや、火をつける。
(班長だけは避けたいなー)
私は人前がとことん苦手だ。いわゆるあがり症らしい。だいぶ前に圭にそう指摘された。
「俺はキャンプファイヤー係がいいかな」
「私は調理管理係ー」
そう思っていると村野さんと宮下くんが自分のやりたい事を先に口にした。
それにより2人の役職はほぼほぼ確定してしまった。
(この状況で同じのがいいって言えるわけないし・・・)
こういうのは大概早い者勝ちなのだ。
人が先に希望したものと同じものを言うのにはそれ相応の勇気がいる。
そんなものを私が持ち合わせているわけがない。そこまでしてなりたいものでもないし。
けれど残っているのは班長と地図・案内係だけ。決めてない人は私と圭。
(せめて班長だけは避けたい・・・!)
そう思って圭に視線をおくる。圭はそのことに気づいたらしく、私の気持ちを察してくれた。
「じゃあ俺は班長にしとくわー。ってことで残った綾乃が地図・案内係な」
「う、うん!分かった!」
(圭〜〜〜〜!本当にありがとう!)
感謝の意味を込めてこっそり手を合わせて拝む。それに気づいた圭は小さく笑った。
趣味は合わないけど、お互い新しい友達がまだ出来ないので一緒にいる。
宿題の範囲や授業で分からなかったこと、担任の先生がやらかしたことなど、当たり障りのない会話を繰り返す。
そんな感じだ。
「それと今度の宿泊研修についてですがー・・・」
ボーッと担任の先生の話を聞き流していると、宿泊研修という単語が聞こえてハッとする。
(もうすぐ宿泊研修じゃん!班はどうなるんだろ・・・?美海ちゃんと一緒になれるといいな)
中学一年生は毎年1泊2日で山の学校に研修に行くことになっている。小学校では海事研修と修学旅行でしか泊まりの行事がなかったため、初めての山の学校に胸を躍らせていた。
その矢先、先生から衝撃の一言が発せられた。
「班はくじ引きで決めさせてもらいます」
(え、えぇぇえええ!?先生酷くない!?)
クラスのみんなも動揺している。
「少し抵抗があるかもしれませんが、これはいろんな人と交流するためなので、この宿泊研修を通して仲を深めてください」
(そ、そんなぁ・・・)
抵抗感なんて少しどころではない。とてつもない、だ。
話を聞いていくと、どうやらこの学校の伝統らしい。そんなの聞いてない。
せめて話しやすい女子と一緒になれますように、と祈らずにはいられなかった。
それからくじ引きをして、同じ班になったのは村野杏菜さん、宮下亮太くん、それと圭。村野さんとは一回も喋ったことないし、宮下くんとももちろんない。せめてもの救いは圭だけ。
(こんなのでまともにオリエンテーリングとか出来るの!?不安要素しかない!)
チラッと圭の様子を伺うが、余裕の表情を浮かべている。
(まぁ圭ってクラスの人気者だからねー?いいよねー?そういう人は!)
ほぼ投げやりに心でなげいていると、先生がまた新たな指示をした。
「班が決まりましたね?それではその班の中で役割を決めてください」
(!?)
班の係には班長、調理管理係、地図・案内係、キャンプファイヤー係がある。
班長は先生からお知らせを聞いたり、班の人達の体調を心がけたり、代表で発表したりする。
調理管理係は野外炊事するときの片付けや道具の管理。
地図・案内係はオリエンテーリングの地図をもって、道案内をする。
キャンプファイヤー係はキャンプファイヤーするときの薪割りや、火をつける。
(班長だけは避けたいなー)
私は人前がとことん苦手だ。いわゆるあがり症らしい。だいぶ前に圭にそう指摘された。
「俺はキャンプファイヤー係がいいかな」
「私は調理管理係ー」
そう思っていると村野さんと宮下くんが自分のやりたい事を先に口にした。
それにより2人の役職はほぼほぼ確定してしまった。
(この状況で同じのがいいって言えるわけないし・・・)
こういうのは大概早い者勝ちなのだ。
人が先に希望したものと同じものを言うのにはそれ相応の勇気がいる。
そんなものを私が持ち合わせているわけがない。そこまでしてなりたいものでもないし。
けれど残っているのは班長と地図・案内係だけ。決めてない人は私と圭。
(せめて班長だけは避けたい・・・!)
そう思って圭に視線をおくる。圭はそのことに気づいたらしく、私の気持ちを察してくれた。
「じゃあ俺は班長にしとくわー。ってことで残った綾乃が地図・案内係な」
「う、うん!分かった!」
(圭〜〜〜〜!本当にありがとう!)
感謝の意味を込めてこっそり手を合わせて拝む。それに気づいた圭は小さく笑った。