今日から中学生になる。
中学受験の際、同じ小学校の子があまり行かないところを選んだから、友達が出来るか不安だ。
どんな人に出会うのか、ワクワクとドキドキを抱えて私───椎名綾乃────は学校へと向かった。
私が学校に着いたころにはクラス表の前に人だかりができていた。
背が高い人が多く、クラス表が全く見えない状態だ。まだ成長期を迎えていない私としては非常にうらやましい。
「人多っっ!見た人はとっととどっかいってよー」
不満そうな声をあげたのは同じ小学校出身の親友、藤沢まゆかだった。
苦笑いを浮かべながら私もまゆかに同調する。
「これじゃあ遅刻するかもね」
「ホントホントー!」
文句言いながら人をかき分けていくと、クラス表の前までやっとたどり着いた。
「私1組だ。まゆかは?」
そう言うとまゆかは青ざめて私を見てくる。
「綾乃、私、5組みたい・・・」
「え!?」
(5組って合同体育もバラバラだし、接点ないじゃん!)
一気に不安の波が押し寄せてきた。何かあってもまゆかに頼ることもできない。
ショックを受けたまま重い足取りで教室に向かった。
教室のドアから覗くと、もう何人も教室にいて談笑していた。
(こんな中入るの!?入りにくっ!)
立ち往生していると、後から声が聞こえた。
「いつまで突っ立ってんだよ。邪魔」
「なっ!うるさい!緊張して当たり前じゃん!まゆかともクラス分かれちゃったし!」
ため息混じりに話しかけてきたのは幼なじみの榎並圭だった。保育園から一緒で、男子が苦手な私が唯一緊張せずに話すことが出来る人だ。
ホッとはしたけど、あくまで圭は幼なじみ、良くて男友達枠だ。女友達が出来たわけではない。
「だからってそこにいても何も始まんねーだろ」
「・・・だね」
圭の言葉に背中を押されるように、教室のドアに手をかけた。
(!)
教室に入ると、同じ小学校出身の阿久津美海がいた。
(美海ちゃんがいてよかったー。けど、あんまり話したことないんだよね・・・)
話しかけようか迷っていると、向こうから話しかけてきてくれた。
「綾乃ちゃん!よかった〜。知ってる子が全くいなくってあせってたんだ〜!」
「私も美海ちゃんがいてよかったー!」
再会を喜ぶように私達はグッと距離を詰めて話し始めた。
男子と比べて女子は話すときの距離が近いと思う。もちろん人や関係性にもよるんだろうけど、私の周りには肩がくっつくかくっつかないかの距離で話す子が多い。
その間に圭はさっさと自分の席に着いて後ろの席の人に話しかけていた。
圭は新しい環境に溶け込むことに長けている。
同じ環境で育ってきたはずなのに、いつの間にこんなに差がついたのだろう。
そんなことを考えながら、美海ちゃんと他愛もない話を重ね、気づけば予鈴のチャイムが鳴っていた。
席の周りには知らない人しかいなくて緊張したが、美海ちゃんがいるから何とかなるだろう。
このときにはわたしの中にあった不安は溶けていた。
中学受験の際、同じ小学校の子があまり行かないところを選んだから、友達が出来るか不安だ。
どんな人に出会うのか、ワクワクとドキドキを抱えて私───椎名綾乃────は学校へと向かった。
私が学校に着いたころにはクラス表の前に人だかりができていた。
背が高い人が多く、クラス表が全く見えない状態だ。まだ成長期を迎えていない私としては非常にうらやましい。
「人多っっ!見た人はとっととどっかいってよー」
不満そうな声をあげたのは同じ小学校出身の親友、藤沢まゆかだった。
苦笑いを浮かべながら私もまゆかに同調する。
「これじゃあ遅刻するかもね」
「ホントホントー!」
文句言いながら人をかき分けていくと、クラス表の前までやっとたどり着いた。
「私1組だ。まゆかは?」
そう言うとまゆかは青ざめて私を見てくる。
「綾乃、私、5組みたい・・・」
「え!?」
(5組って合同体育もバラバラだし、接点ないじゃん!)
一気に不安の波が押し寄せてきた。何かあってもまゆかに頼ることもできない。
ショックを受けたまま重い足取りで教室に向かった。
教室のドアから覗くと、もう何人も教室にいて談笑していた。
(こんな中入るの!?入りにくっ!)
立ち往生していると、後から声が聞こえた。
「いつまで突っ立ってんだよ。邪魔」
「なっ!うるさい!緊張して当たり前じゃん!まゆかともクラス分かれちゃったし!」
ため息混じりに話しかけてきたのは幼なじみの榎並圭だった。保育園から一緒で、男子が苦手な私が唯一緊張せずに話すことが出来る人だ。
ホッとはしたけど、あくまで圭は幼なじみ、良くて男友達枠だ。女友達が出来たわけではない。
「だからってそこにいても何も始まんねーだろ」
「・・・だね」
圭の言葉に背中を押されるように、教室のドアに手をかけた。
(!)
教室に入ると、同じ小学校出身の阿久津美海がいた。
(美海ちゃんがいてよかったー。けど、あんまり話したことないんだよね・・・)
話しかけようか迷っていると、向こうから話しかけてきてくれた。
「綾乃ちゃん!よかった〜。知ってる子が全くいなくってあせってたんだ〜!」
「私も美海ちゃんがいてよかったー!」
再会を喜ぶように私達はグッと距離を詰めて話し始めた。
男子と比べて女子は話すときの距離が近いと思う。もちろん人や関係性にもよるんだろうけど、私の周りには肩がくっつくかくっつかないかの距離で話す子が多い。
その間に圭はさっさと自分の席に着いて後ろの席の人に話しかけていた。
圭は新しい環境に溶け込むことに長けている。
同じ環境で育ってきたはずなのに、いつの間にこんなに差がついたのだろう。
そんなことを考えながら、美海ちゃんと他愛もない話を重ね、気づけば予鈴のチャイムが鳴っていた。
席の周りには知らない人しかいなくて緊張したが、美海ちゃんがいるから何とかなるだろう。
このときにはわたしの中にあった不安は溶けていた。