「やっば、サボるとかないわー」
「貧乏すぎて学費もないの?やばすぎ、ウケる」
そう言って笑うのはさっきも会ったいじめっ子のクラスの女子達だった。
学校から出ようと思っていた廊下でばったり会ってしまったのだ。

「表情ないよなー」
「冷たい風と土ってか?」
「ねえそれ全然面白くないってば」
そう言いながらも笑う彼女たち。
その人達が廊下に広がっていて先に進めないのだ。早く行かせて欲しい。

そう思っていた時だった。

ぱぁん、と廊下に大きな音が響く。
それから来た頬が焼けたような感覚。

「あ、ごめんごめん。手滑っちゃって」
「ふはっ、レベチやなー」
「あ、うちらも遅れちゃう。こいつのせいで送れたらやばいし行こ」
そう言って私のことなどもう忘れたように仲良く廊下を走っていた。

そんなことがあったって私の意思は変わらないし、むしろ強くなってしまった。

邪魔者だけど、いてもいなくてもかわらない存在。なら、いない方がいいと思う。

”表情ない”
”使える人”
”消えて欲しい存在No.1”
”ストレス発散できる”

それが今の私のタグだった。
昔の私が聞いたら気絶してしまうかもしれない。

だけど、私の人生はもうこれで終わらせるから。だから心配しないで。

ごめんね、小学生の時の私。卒業アルバムに「100歳まで生きる」って書いてたけど、その3年後には死んじゃってごめんね。しかも私の意思で死んじゃってごめんね。

だけど、後悔なんかひとつもないから、もういいの。
疲れたし、邪魔だし、こんないらない存在の私が生きてていいことなんか何一つ起きないから。

だから、私は死ぬね。
さよなら、私の心。
さよなら、私の体。
生まれ変わり……は信じてないけど、私が生まれ変わるくらいなら、カナを生き返らせてあげてね、神様。

私はそう思いながら、静かに外へと足を踏み出した。