「俺じゃなくて、
そいつのおかげで、笑うこと増えた。
だから、俺はもう行かなきゃなんだ、」

「とっ、十夜、」



〝どこに?〟



そう聞こうとしたけど。



聞く前に十夜は........................



「俺、本当はもう死んでて、幽霊なんだ。
だから、旅行とかも行けずに、ごめん、」



にわかには信じがたい言葉を発する十夜。



でも...........................



「............っ、ぅ、とおや、触れない、」



十夜に手を伸ばしても透けるように、
貫通してしまった、私の腕。



それでも..................



「言ったじゃん、幽霊だって、」



笑ってそう言う十夜。