「ーぃ!れい!」
私を呼ぶチカの声が遠くから聞こえた。

「あ…ごめんぼーっとしてた」

「もう何回呼んでも気付かないんだから」と少し怒り気味に言われてしまい申し訳なくなってしまう。

「冷はいつも難しい顔してるんだから。
そうだ!久しぶりに、今日は放課後パーッと遊びにいかない?」

突然のチカの提案に思わず驚いてしまった。

でも確かに、前まではチカとよく休みの日に出かけにいったり放課後に遊んでいたりしていたことを思い出す。

久しぶりに息抜きとしてはいいかもしれない。

まだ考えることはたくさんあるが、まずは楽しむことを優先したっていいだろう。

自分に甘いなぁと思ってしまうけどこんな日があってもいい気がして。

だってここ一年ずっと、私もそしてチカだって苦しい思いをしてきたのだから。


「いいじゃん、久しぶりに遊ぼっか」

放課後のことを考えると、私は喜びを頬にうっすらとうかべていた。

チカと話し終えてからも、ニヤケがとまらなかった。一人でニヤニヤしていて気持ち悪い顔をしている気がする。

だって嬉しかったのだ。
前と同じような、そんな日常を本当に取り戻せたんだということをチカの言葉や表情から実感できる。

「冷、なんか幸せそうだね。にこにこしてる」

突然前から優しい声が聞こえる。
その声を聞くだけで、私はすぐにその相手が誰か分かってしまう。

最近は声を聞くだけでもドキドキと胸が高鳴ってしまうのを感じる。

私は平然を装いながら「やっぱそう見える?」と暖に返した。