私が心の中で笑みを浮かべていると、チャイムがなった。
ぞろぞろと周りは自分の席についていく。

そんな時、私はそういえば…と気になることが一つあった。

「ねぇ、チカそういえば佳奈は?」

佳奈の席は空白で学校にはきていなかった。

「あー…私も分かんないんだよね」

チカが言うには連絡はしてみたけど全く音沙汰がないそうだ。

佳奈にはチカなんかよりもよっぽどひどいことをされてきたが、それでも私は佳奈ともしっかり話すべきではないかと思っていた。

あの時、暖はなぜ佳奈のことを知っていたのだろうか。
あの口調や口ぶりは、佳奈の過去を連想させた。

____「 君も疲れるでしょ、本当の自分を隠すのは 」

夢の中での出来事や、現実での暖の言動…気になることはたくさんある。

私はこれを放っておいてはいけない気がした。
自分でも分からない。なぜこんなことが気になってしまうのか。

それでも私は、自分を変えるために知りたい。

何か大事なことを忘れてしまっているとするならば、私はそれを取り戻したい。

このことに関して少しでも何かを知っている人はいないだろうか。

例えば、過去のことはお父さんなら覚えているかもしれない。

それに暖のことなら、桐生くんとか…。

でも桐生くんはあの日以来、まだ一度も話していないしどこにいるのかも分からない。

ちょっと話しただけで私のことなんて信用もできないだろう。

「なんであんたに暖のこと教えなきゃいけないわけ?」とゴミを見るような目で私に言う桐生くんが思い浮かぶ。

いや、さすがにそんなことは言わないよね…と苦笑いを浮かべながらそんな勝手な想像を振り払った。