ただそうは言っても好きになるわけではないけれど。

恋愛感情というものがそもそもあまり分からない私からすると彼氏彼女などというものは理解できないのだ。

そう考えるとやっぱり私は少し冷めているのだろうか？
他の人とは違うのかなと頭をひねらせながらもんもんと考えていると彼がまた口を開いた。

「俺チカの幼なじみで、前にチカ繋がりで少し話したことがあるんだ。1回だけだし分からないのも仕方ないよ」

「あ…思い出したかも、チカと一緒に話してた時に教室にきてた人ですか？」

何となくぼんやりと思い出す。チカから教科書を借りに教室まできていた気がする。
最後まで思い出せなかったらさすがに申し訳ないと思い､悩んでいたが自分の記憶力にほっとする。

「…でもやっぱりごめんなさい、私あんまり恋愛とか分からないから友達なら全然大丈夫です」

彼は悪い人ではなさそうだし友達として仲良くしていくぶんには大丈夫だと思った。

「ほんと？ありがとう、冷ちゃんって呼んでもいいかな？」

「全然大丈夫です。よろしくね」

そこから湊と仲良くなるのは思っていたよりも早かった。

特に恋愛に発展するわけではないが湊とは本という共通の趣味が合っていたためよく話をする仲になった。

「冷ちゃん読んだ？この前の新作！」
「読んだ読んだ、めっちゃよかったよね」

湊とは話が盛り上がるし楽しい。

けれどそんな私の態度がチカにとっては気に食わなかったのだろうか。