小さい頃から「集団」が苦手なのは変わらなくて私は学校でも上手く馴染むことができなかった。

中学時代も友達はできずにこのまま卒業するのだろうと思っていたが、そんな時にチカが声をかけてくれて仲良くなれたのだ。

まぁ...今はそんなチカにも嫌われているけれど。

やっぱり学校は嫌いだ。
こうやって息抜きをしようとしても、つい余計なことを考えて思考がネガティブになってしまう。

そんな時、ガラッと教室のドアが開く音がした。

心臓がドクンと鳴る。
まさかもうクラスメイトが来たのか。
昨日はこんなに早くなかったのにと苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。

きっと私がいたら相手も気まづいし嫌な思いをさせるかもしれない。

けれど、そんな私の予想は外れてその人は「おはよ」と私に声をかけてきた。

その声に私は顔をあげる。

そこには朝からよくそんな表情筋を使えるなと思うほどニコニコと微笑んでる暖がいた。

「なんだ、暖か」とほっと安堵する。

「僕じゃ不満だったの？」
「そ、そういう意味じゃないって！」
軽く笑いを浮かべてそんなことを言う彼に、慌てて返す。

「わかってるよ」と少し口角を上げて笑う彼に不意に胸がときめいてしまう。

どんな表情をしていても様になるのはなぜなのか。

私が同じように笑ったら上手くできずに引き攣(つ)った笑いに「きも…」と思われるのがオチだろう。

そういえば暖は昨日も朝早くにきていたな。

転校初日だというのに学校を出歩いてていいのかと今更ながら思うが、きっとあの適当な涼香先生のことだ。

暖に対して「適当にブラブラしといていいぞー」という先生の姿が思い浮かぶ。