ベッドに入っても明日がくるのが怖くなった。
時間が進まなければ暖がいなくなることもないから。

こんなことなら、いっそのこと思い出さない方がよかったのかもしれないと自分の弱い心が囁いた。

そんな考えをしてしまういつまで経っても弱い自分が憎くて仕方がなかった。

そんな時ふと暖と撮った写真が目線の先にはいった。
あの後、こっそりホーム画面にしてしまったのだ。

その中で笑っている暖を見るとさっきの気持ちがふっとなくなるのを感じる。

「…好きだなぁ」

やっぱり、暖のことを…愛おしい人のことを忘れてるままなんてそんな辛いことはないと思った。

このままじゃいけない。

うじうじと引きこもって、弱いままの自分でいたら私はまた後戻りしてしまう。

幼い頃の弱い自分。泣き虫で、約束も忘れ去っていた自分。暖の病気を…受け入れられなかった自分。

そしてまた、私はそれに戻るのか?

高校に入ってもこの世界はどうしようもないから仕方ないのだと否定して自分を守ってきた。

そんな私を救い出して光を与えてくれたのは、紛れもなく暖だった。

私に、暖かさを、優しさを…幼い頃と同じように教えてくれたのは君だった。

だから私は、今度は暖を救いたい。

相手を暖かく包んでくれるような優しい笑顔。

相手に申し訳ないと思った時に眉がさがる仕草。

相手が一番欲しい言葉を見つけだして、花を渡すかのように優しくそっと与えてくれる。

いつも君の行動は相手のことばかり考えていて、どうしようもなく優しいんだ。

私は今の自分の想いを忘れたくなくて、いても立ってもいられず暖に電話をかけた。

今の気持ちを伝えたかった。