僕、ヒイロの人生を変える。そんな出会いだった。直感的に彼女を大切にしたいと思った。それと同時に彼女が絶望の淵に立たされているであろう事も、感じ取れた。痛いほど分かる。その気持ち。死ねば、楽になる。そう思いたくなる、現実。彼女の境遇なんて、一切分からない。しかし、彼女の気持ちは手に取るように分かってしまっていた。気づいたら、声をかけていた。《はい。タオル。》そんな、場違いな発言だった。柵にかけた足を下ろして彼女は、振り返る。とりあえずこの場から、遠ざけた方が彼女のためだ。そして、僕のためでもある。この時には、彼女に惹かれてしまっていたのだろう。