序章
俺は「男」だ。
こんなこと誰にも言えない。
いくら仲が良い友人であろうが、信頼出来る親であろうが、言えない。
いや、正しくは言いたくないだけなのかもしれない。偏見を持った古い人間しか俺の周りには居ないから。本当の俺を知ってる人間なんて居ない。
これから話すのは、誰にも話せなくて死にたかった俺を見つけ出したあいつと俺、糸羽(いとは)の人生物語。