目覚まし時計の音で目覚める。
隣には愛しい彼の顔。
長いまつ毛。筋の通った鼻。きめ細かい肌。

「おはよ、浩斗」
「うーん、おはよー」

返事はしたものの、まだ眠そうな彼。

「遅刻しちゃうよ」
「うーん」

ベットから降りてキッチンへ向かう。
フライパンに油をひき、卵を焼く。
私はかた焼き、浩斗は半熟。
何年も一緒にいるからわかる。知らない事はないと言っても過言ではない。

「今日の朝ごはん、なーに?」

寝癖姿のままノソノソと歩いてきた浩斗に私は言う。

「浩斗の好きな卵焼き」
「まじ?嬉し。凛ちゃんの卵焼き好きなんだよね」
「ふふ、知ってる」

向かい合ってご飯を食べる。
卵焼きにベーコンにパン。
私たちはいつも通りパンにマーマレードを塗る。
浩斗と一緒に暮らすようになってからの習慣だ。

ほどなくして浩斗は仕事に出かけた。
私も出かける準備をする。