~ダンジョン・フロア1~
現在、ダンジョンは数多のハンター達が何十年という歳月と労力を積み重ねた結果、人類はつい先日“フロア90”まで辿り着いたのだ。だがまだ誰にも知る由はない。この未知のダンジョンがどこまで続いているのかを。
このフロア90の到達は国中……いや、世界中で瞬く間にニュースとなり、アーサー自身もこの事実に胸を踊らせた。
だが、彼にとっては別次元のお話。
毎日命を落とさぬよう、地に足を着け、ギルドメンバーに迷惑を掛けないようにハンター活動をしていたアーサーにとってはフロア90など一生手が届かない。そもそも考えた事もなかった。
そう。昨日までは――。
「よし。今日は一番下のフロアを周回でもして“魔鉱石”を集めよう。ギルドを追放された今、僕は1人となってしまった……。いくら新しいスキルを手にしたからと言っても、上のフロア強いモンスターと遭遇したら絶対に死ぬ」
冷静にそう判断していたアーサーは早速魔鉱石を集める為にフロアを進んで行く。魔鉱石はモンスターから取れる素材であり、アーティファクト同様に取引が出来るのでお金に換金する事が出来る。
「1人だとめちゃくちゃ心細いな……。でもやるしかない。まずは召喚から。日付が変わってリセットされてるから、出来る所まで一気に召喚してみるか」
独り呟くアーサーは昨日と同じように召喚。ハンターが装備出来るアーティファクト数は全部で5つ。既に『良質な剣(D):Lv1』と『ゴブリンアーマー(D):Lv1』を装備していたアーサーは残りのスロットを埋める為に3回の召喚を使った。
====================
アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(7/10)
・ランクアップ召喚(3/3)
・スキルP:0
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『スライムのヘアバンド(E):Lv9』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv1』
・スロット4:『スライムの手袋(E):Lv9』
・スロット5:『スライムの靴下(E):Lv9』
【能力値】
・ATK:15『+159』
・DEF:18『+70』
・SPD:21『+9』
・MP:25『+9』
====================
「やっぱDランクアーティファクトの能力値は凄いな。EランクのレベルMAXと比べても段違い」
改めてDランクアーティファクトの強さを実感するアーサー。そして……。
「さてと……。それじゃあやってみようか!」
気合いを入れたアーサー。
『スライムのヘアバンド(E):Lv9』『スライムの手袋(E):Lv9』『スライムの靴下(E):Lv9』の3つにそれぞれランクアップ召喚を使用する。
「ランクアップ召喚!」
『ランクアップ召喚を使用しました。『スライムのヘアバンド(E):Lv9』が『ゴブリンの帽子(D):Lv1』にランクアップしました』
『ランクアップ召喚を使用しました。『スライムの手袋(E):Lv9』が『ゴブリンのグローブ(D):Lv1』にランクアップしました』
『ランクアップ召喚を使用しました。『スライムの靴下(E):Lv9』が『ゴブリンの草履(D):Lv1』にランクアップしました』
静かに鳴り響いた無機質の祝福。
前代未聞の展開にアーサーが叫ぶ。
「よっしゃああああああ! 僕のスキル覚醒は夢じゃなかった! よしよしよーーーーしッ!」
全ての装備がDランクアーティファクト――それも最上物であるゴブリンのネームの入ったアーティファクトを召喚する事に成功したアーサーは何度もガッツポーズを繰り出す。
====================
アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(4/10)
・ランクアップ召喚(0/3)
・スキルP:0
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『ゴブリンの帽子(D):Lv1』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv1』
・スロット4:『ゴブリンのグローブ(D):Lv1』
・スロット5:『ゴブリンの草履(D):Lv1』
【能力値】
・ATK:15『+220』
・DEF:18『+70』
・SPD:21『+70』
・MP:25『+70』
====================
「いける――! これなら1人でもダンジョンに挑めるぞ……!」
希望、そして新たな力を手に入れたアーサーは本格的に動き出した。
剣を構え、軽い足取りでフロアを突き進んで行く。
(体が軽い。これがDランクアーティファクトの力か)
まるで水を得た魚の如く生き生きとしているアーサーは早速モンスターと遭遇。
スライム、スライム、スライム、ゴブリン、スライム、ゴブリン、ゴブリン。
「はあッ!」
『グギャ!』
「凄過ぎるぞDランク! 自分じゃないみたいだ」
これまでは最弱ランクのスライムやゴブリンを倒すのにも傷だらけで苦戦をしていたアーサー。しかし、Dランクアーティファクトの力を手に入れた彼は苦戦するどころか早くも1人でフロア4まで到達していた。
それもまだまだ本気の力ではない。
その後も順調にフロアを登って行ったアーサーはこの日、自身最高記録である33個の魔鉱石を集めた。このフロアの魔鉱石は1個あたり300Gで換金される。つまり破格の9,900Gを稼ぎ出す事に成功したのだ。
初めに言っておくが、この稼ぎはハンターとしてあり得ない程に低い。だがアーサーにとって、それも1人で稼いだ事を踏まえると間違いなく破格の稼ぎであった。
「あり得ない事態だ。まさかこんなに稼げるなんて。しかもいつもは傷だらけなのに、ほぼダメージを受けていない。それに1人だし」
自分の体を確かめながら喜ぶアーサー。
早朝からダンジョンに籠り、快調にフロアを進んでいたが気が付けば時間はもう夕飯時。とりあえず今日はもう帰ろうと考えたアーサーは、最後に残りの召喚を使ってアーティファクトのレベル上げをしたのだった。
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アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(0/10)
・ランクアップ召喚(0/3)
・スキルP:0
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『ゴブリンの帽子(D):Lv1』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv3』
・スロット4:『ゴブリンのグローブ(D):Lv2』
・スロット5:『ゴブリンの草履(D):Lv2』
【能力値】
・ATK:15『+230』
・DEF:18『+90』
・SPD:21『+80』
・MP:25『+70』
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「今日はこれで終わりだな」
1日の可能な召喚を全て使い切ったアーサーは更に能力値が上昇した。そしてアーサーは帰る為に転移サークルに乗ってメインフロアへと戻る。
(これからは1人でもハンターとしてやっていける。今まで散々我慢してきたんだ……もう1回ぐらい“贅沢”してもいいよね――?)
何かを思いついたのだろうか。
決意を固めた表情のアーサーはいつもの流れで、魔鉱石を換金してもらう為に受付嬢のリリアの元へと向かうのだった。
現在、ダンジョンは数多のハンター達が何十年という歳月と労力を積み重ねた結果、人類はつい先日“フロア90”まで辿り着いたのだ。だがまだ誰にも知る由はない。この未知のダンジョンがどこまで続いているのかを。
このフロア90の到達は国中……いや、世界中で瞬く間にニュースとなり、アーサー自身もこの事実に胸を踊らせた。
だが、彼にとっては別次元のお話。
毎日命を落とさぬよう、地に足を着け、ギルドメンバーに迷惑を掛けないようにハンター活動をしていたアーサーにとってはフロア90など一生手が届かない。そもそも考えた事もなかった。
そう。昨日までは――。
「よし。今日は一番下のフロアを周回でもして“魔鉱石”を集めよう。ギルドを追放された今、僕は1人となってしまった……。いくら新しいスキルを手にしたからと言っても、上のフロア強いモンスターと遭遇したら絶対に死ぬ」
冷静にそう判断していたアーサーは早速魔鉱石を集める為にフロアを進んで行く。魔鉱石はモンスターから取れる素材であり、アーティファクト同様に取引が出来るのでお金に換金する事が出来る。
「1人だとめちゃくちゃ心細いな……。でもやるしかない。まずは召喚から。日付が変わってリセットされてるから、出来る所まで一気に召喚してみるか」
独り呟くアーサーは昨日と同じように召喚。ハンターが装備出来るアーティファクト数は全部で5つ。既に『良質な剣(D):Lv1』と『ゴブリンアーマー(D):Lv1』を装備していたアーサーは残りのスロットを埋める為に3回の召喚を使った。
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アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(7/10)
・ランクアップ召喚(3/3)
・スキルP:0
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『スライムのヘアバンド(E):Lv9』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv1』
・スロット4:『スライムの手袋(E):Lv9』
・スロット5:『スライムの靴下(E):Lv9』
【能力値】
・ATK:15『+159』
・DEF:18『+70』
・SPD:21『+9』
・MP:25『+9』
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「やっぱDランクアーティファクトの能力値は凄いな。EランクのレベルMAXと比べても段違い」
改めてDランクアーティファクトの強さを実感するアーサー。そして……。
「さてと……。それじゃあやってみようか!」
気合いを入れたアーサー。
『スライムのヘアバンド(E):Lv9』『スライムの手袋(E):Lv9』『スライムの靴下(E):Lv9』の3つにそれぞれランクアップ召喚を使用する。
「ランクアップ召喚!」
『ランクアップ召喚を使用しました。『スライムのヘアバンド(E):Lv9』が『ゴブリンの帽子(D):Lv1』にランクアップしました』
『ランクアップ召喚を使用しました。『スライムの手袋(E):Lv9』が『ゴブリンのグローブ(D):Lv1』にランクアップしました』
『ランクアップ召喚を使用しました。『スライムの靴下(E):Lv9』が『ゴブリンの草履(D):Lv1』にランクアップしました』
静かに鳴り響いた無機質の祝福。
前代未聞の展開にアーサーが叫ぶ。
「よっしゃああああああ! 僕のスキル覚醒は夢じゃなかった! よしよしよーーーーしッ!」
全ての装備がDランクアーティファクト――それも最上物であるゴブリンのネームの入ったアーティファクトを召喚する事に成功したアーサーは何度もガッツポーズを繰り出す。
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アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(4/10)
・ランクアップ召喚(0/3)
・スキルP:0
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『ゴブリンの帽子(D):Lv1』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv1』
・スロット4:『ゴブリンのグローブ(D):Lv1』
・スロット5:『ゴブリンの草履(D):Lv1』
【能力値】
・ATK:15『+220』
・DEF:18『+70』
・SPD:21『+70』
・MP:25『+70』
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「いける――! これなら1人でもダンジョンに挑めるぞ……!」
希望、そして新たな力を手に入れたアーサーは本格的に動き出した。
剣を構え、軽い足取りでフロアを突き進んで行く。
(体が軽い。これがDランクアーティファクトの力か)
まるで水を得た魚の如く生き生きとしているアーサーは早速モンスターと遭遇。
スライム、スライム、スライム、ゴブリン、スライム、ゴブリン、ゴブリン。
「はあッ!」
『グギャ!』
「凄過ぎるぞDランク! 自分じゃないみたいだ」
これまでは最弱ランクのスライムやゴブリンを倒すのにも傷だらけで苦戦をしていたアーサー。しかし、Dランクアーティファクトの力を手に入れた彼は苦戦するどころか早くも1人でフロア4まで到達していた。
それもまだまだ本気の力ではない。
その後も順調にフロアを登って行ったアーサーはこの日、自身最高記録である33個の魔鉱石を集めた。このフロアの魔鉱石は1個あたり300Gで換金される。つまり破格の9,900Gを稼ぎ出す事に成功したのだ。
初めに言っておくが、この稼ぎはハンターとしてあり得ない程に低い。だがアーサーにとって、それも1人で稼いだ事を踏まえると間違いなく破格の稼ぎであった。
「あり得ない事態だ。まさかこんなに稼げるなんて。しかもいつもは傷だらけなのに、ほぼダメージを受けていない。それに1人だし」
自分の体を確かめながら喜ぶアーサー。
早朝からダンジョンに籠り、快調にフロアを進んでいたが気が付けば時間はもう夕飯時。とりあえず今日はもう帰ろうと考えたアーサーは、最後に残りの召喚を使ってアーティファクトのレベル上げをしたのだった。
====================
アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(0/10)
・ランクアップ召喚(0/3)
・スキルP:0
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『ゴブリンの帽子(D):Lv1』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv3』
・スロット4:『ゴブリンのグローブ(D):Lv2』
・スロット5:『ゴブリンの草履(D):Lv2』
【能力値】
・ATK:15『+230』
・DEF:18『+90』
・SPD:21『+80』
・MP:25『+70』
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「今日はこれで終わりだな」
1日の可能な召喚を全て使い切ったアーサーは更に能力値が上昇した。そしてアーサーは帰る為に転移サークルに乗ってメインフロアへと戻る。
(これからは1人でもハンターとしてやっていける。今まで散々我慢してきたんだ……もう1回ぐらい“贅沢”してもいいよね――?)
何かを思いついたのだろうか。
決意を固めた表情のアーサーはいつもの流れで、魔鉱石を換金してもらう為に受付嬢のリリアの元へと向かうのだった。