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『スキルPを1,000,000使用。召喚士Lv50(MAX)になりました。上限に達しましたので、召喚士ランクがAから“S”にアップします。
ランクアップ召喚の可能ランクがAランクから“Sランク”にアップとなりました――』
「「キターーーーーーーーーーーーーー!!!」」
何度もアーサーの世界を変えてきた無機質な祝福。
ウォッチから奏でられたアナウンスを聞いたアーサーとモルナは同時に大声を上げた。
「遂にやったわね、アーサー君」
「なんだ、もうレベルMAXに達したのか。残念だったなシェリル。勝負はここまでだ」
「いえ。私が勝つまでこの勝負に終わりはありません」
グリムとシェリルは今にも勝負を続けそうな勢いであったが、アーサーのウォッチから奏でられたアナウンスにより、流石の二人もアーサーへと注目していた。
「本当にありがとうございます! マリアさんとグリムさんがいなかったら、絶対にここまで辿り着けていませんでした」
「お礼なんて要らないわよアーサー君。それに仮に感謝してくれていたとしても、まだ早いんじゃない?」
マリアの目が――そして他の皆の目も、アーサーに訴えかけていた。
“Sランクアーティファクトを召喚してみせよ”――と。
「マリアさん……」
「ええ」
ゴクリと生唾を飲み込んだアーサーは、緊張した面持ちでマリアを見た。そしてその意図を汲み取ったマリアがSランクアーティファクト、『イザナギの薙刀』を取り出しアーサーに渡した。
見ているグリム達も自然と無言になり、皆の視線は『イザナギの薙刀』へと注がれる。誰よりも緊張と不安でアーティファクトを見つめるアーサー。
これまで幾度となく奇跡を起こしてきた。いつの間にか最弱無能の召喚士から、前人未到の領域へ。自分の手に皆の期待が、更に世界の未来が懸かっていると思うと、アーサーは目に見えないプレッシャーで押しつぶされそうだった。
(大丈夫……僕は一人じゃない)
ゆっくりと、深呼吸を1つしたアーサー。
場が静寂に包まれる中、彼は普段と何ら変わりのないやり方で、スキルを使用した。
「召喚――」
アーサーの優しい声が発せられたと同時、『イザナギの薙刀』の横でぼんやりと淡い光が発生した。その淡い光が徐々に強くなると、次の瞬間、アーサー達の前にもう1つ『イザナギの薙刀』が召喚された。
「やッ……!」
アーサーが喜びの言葉を爆発させようとした直後、召喚された『イザナギの薙刀』が、元あった『イザナギの薙刀』と融合。融合された『イザナギの薙刀』はレベルアップし、新たに『イザナギの薙刀(S): Lv2 ※ヒーラー専用』となった。
「「キターーーーーーーーーーーーーー!!!」」
再び同時に雄叫びを上げたアーサーとモルナ……今度は更にそこにグリムも混ざっていた。
「遂にやったな!」
「いえ、僕は何も! グリムさんのお陰です!」
「アーサー様かっこいい☆」
「これは凄いわ……」
思わずテンションが上がるアーサー達。普段冷静なシェリルやマリアでさえも、この偉業に胸を高鳴らせていた。
この数日間で、シェリルを除いた全員がスキルレベルMAXに到達し、装備アーティファクトも全てモンスターネーム&レベルMAXで揃えられている。そして念願だったSランクアーティファクトの召喚が成功した今、残るは今装備しているAランクアーティファクトをSランクへと昇華させるのみ――。
「うし。俺のからやってもらうぜ。文句ねぇな?」
「勿論っす! 必ず成功させてみせやす! グリムの兄貴!」
冷めやまぬ興奮により、最早アーサーも自分のキャラが崩壊していた。だがそれは決してアーサーだけの話ではない。皆少なからず興奮を抑えられない。そんな様子である。
「ドラゴンの上って何だろうね!」
「そうね。Sランクの中で『イザナギ』が上か下かも分からないから、こればかりは検討も付かないわよね」
「一周回ってスライムかもしれませんね」
これも興奮状態によるものだろうか。今まで冗談など口にした事がないシェリルまでもが変なテンションになっており、初めて冗談を述べた。
「いきます――!」
再び緊張に包まれたアーサーの瞳は、グリムの手に握られている『ドラゴンバスター』を真っ直ぐ見つめると、その『ドラゴンバスター』にランクアップ召喚を使用した。
『ランクアップ召喚を使用しました。『ドラゴンバスター(A):Lv9』が『シャカの悟り(S):Lv1 ※賢者専用』にランクアップしました』
Aランクアーティファクトが無事Sランクアーティファクトへと昇華したと同時、これまでと僅かに勝手が違う事態に、アーサー達一行は一瞬言葉を詰まらせたのだった。
「ひとまずSランクアーティファクトへのランクアップは成功……って事でいいんですよね……?」
「ああ、まぁ……一応な」
新たに成った『シャカの悟り(S):Lv1 ※賢者専用』を一番近くで手にしているアーサーと、その隣で『シャカの悟り』をまじまじと見つめているグリムは、何とも言えない表情を浮かべていた。
色々思う所はあれど、アーサーとグリムが今思っている事は至極シンプル且つ、同じ事を思っていた。
「確かにSランクアーティファクトへランクアップ出来たのは偉業だが……。これ“賢者専用”って事はアレだよな、使えねぇよな? 俺」
「そう……ですよね……。やっぱそういう認識で合ってますよね?」
次の瞬間、グリムがキレた。
「おいコラ、アーサーテメェッ! 俺のアーティファクトに何晒しとんじゃボケー!!」
「そ、そんな事言われましてもッ! まさかこんな事になるなんて知らなかったんですよー!」
「ふざけんな! 俺のアーティファクトだ! “剣士専用”のSランクをもう一回出せコラァァ!」
「落ち着いてよグリム。今はアーサー君を責めてる場合じゃないでしょ」
マリアの救済的一言により、今まさにグリムに斬り殺されそうであったアーサーは、間一髪の所で命が助かった様だ。
「コイツを責めないで誰を責める? どうすんだよ、俺のアーティファクト」
「ごめんなさい……」
「アーサー君は悪くないわよ。寧ろAランクをSランクにランクアップさせたんだから、とんでもない事よこれ」
「そうだよグリム☆ アーサー様だってワザとやったんじゃないんだし」
「剣が1つ減った今のグリムなら勝てるかもしれませんね」
「お前そこまでして勝ちたいのかよ……。それで勝って嬉しいのか? 逆によ」
そんな会話をしながら、ひとまず気を落ち着かせたグリム。そこでマリアが、申し訳なさそうな顔をしているアーサーにもう一度ランクアップ召喚をすよう促す。
「アーサー君、ひょっとしたらSランクへのランクアップ召喚はこれまでと違って、不規則なのかもしれないわね。試しにもう一度やってみましょう」
「え、でも……もし失敗したら大変ですよ。特にグリムさんが……」
「Sランクにアップさせてるんだから、失敗と言うのは違うわよ。大丈夫、グリムは放っておけばいいわ」
「良くねぇだろ! 次失敗したら只じゃおかねぇぞ」
「それならグリムは後でいいわ。アーサー君、私のアーティファクトで試して頂戴」
マリアにそう言われたアーサーは、一抹の不安を抱えながらも、再びランクアップ召喚を試みた。
『スキルPを1,000,000使用。召喚士Lv50(MAX)になりました。上限に達しましたので、召喚士ランクがAから“S”にアップします。
ランクアップ召喚の可能ランクがAランクから“Sランク”にアップとなりました――』
「「キターーーーーーーーーーーーーー!!!」」
何度もアーサーの世界を変えてきた無機質な祝福。
ウォッチから奏でられたアナウンスを聞いたアーサーとモルナは同時に大声を上げた。
「遂にやったわね、アーサー君」
「なんだ、もうレベルMAXに達したのか。残念だったなシェリル。勝負はここまでだ」
「いえ。私が勝つまでこの勝負に終わりはありません」
グリムとシェリルは今にも勝負を続けそうな勢いであったが、アーサーのウォッチから奏でられたアナウンスにより、流石の二人もアーサーへと注目していた。
「本当にありがとうございます! マリアさんとグリムさんがいなかったら、絶対にここまで辿り着けていませんでした」
「お礼なんて要らないわよアーサー君。それに仮に感謝してくれていたとしても、まだ早いんじゃない?」
マリアの目が――そして他の皆の目も、アーサーに訴えかけていた。
“Sランクアーティファクトを召喚してみせよ”――と。
「マリアさん……」
「ええ」
ゴクリと生唾を飲み込んだアーサーは、緊張した面持ちでマリアを見た。そしてその意図を汲み取ったマリアがSランクアーティファクト、『イザナギの薙刀』を取り出しアーサーに渡した。
見ているグリム達も自然と無言になり、皆の視線は『イザナギの薙刀』へと注がれる。誰よりも緊張と不安でアーティファクトを見つめるアーサー。
これまで幾度となく奇跡を起こしてきた。いつの間にか最弱無能の召喚士から、前人未到の領域へ。自分の手に皆の期待が、更に世界の未来が懸かっていると思うと、アーサーは目に見えないプレッシャーで押しつぶされそうだった。
(大丈夫……僕は一人じゃない)
ゆっくりと、深呼吸を1つしたアーサー。
場が静寂に包まれる中、彼は普段と何ら変わりのないやり方で、スキルを使用した。
「召喚――」
アーサーの優しい声が発せられたと同時、『イザナギの薙刀』の横でぼんやりと淡い光が発生した。その淡い光が徐々に強くなると、次の瞬間、アーサー達の前にもう1つ『イザナギの薙刀』が召喚された。
「やッ……!」
アーサーが喜びの言葉を爆発させようとした直後、召喚された『イザナギの薙刀』が、元あった『イザナギの薙刀』と融合。融合された『イザナギの薙刀』はレベルアップし、新たに『イザナギの薙刀(S): Lv2 ※ヒーラー専用』となった。
「「キターーーーーーーーーーーーーー!!!」」
再び同時に雄叫びを上げたアーサーとモルナ……今度は更にそこにグリムも混ざっていた。
「遂にやったな!」
「いえ、僕は何も! グリムさんのお陰です!」
「アーサー様かっこいい☆」
「これは凄いわ……」
思わずテンションが上がるアーサー達。普段冷静なシェリルやマリアでさえも、この偉業に胸を高鳴らせていた。
この数日間で、シェリルを除いた全員がスキルレベルMAXに到達し、装備アーティファクトも全てモンスターネーム&レベルMAXで揃えられている。そして念願だったSランクアーティファクトの召喚が成功した今、残るは今装備しているAランクアーティファクトをSランクへと昇華させるのみ――。
「うし。俺のからやってもらうぜ。文句ねぇな?」
「勿論っす! 必ず成功させてみせやす! グリムの兄貴!」
冷めやまぬ興奮により、最早アーサーも自分のキャラが崩壊していた。だがそれは決してアーサーだけの話ではない。皆少なからず興奮を抑えられない。そんな様子である。
「ドラゴンの上って何だろうね!」
「そうね。Sランクの中で『イザナギ』が上か下かも分からないから、こればかりは検討も付かないわよね」
「一周回ってスライムかもしれませんね」
これも興奮状態によるものだろうか。今まで冗談など口にした事がないシェリルまでもが変なテンションになっており、初めて冗談を述べた。
「いきます――!」
再び緊張に包まれたアーサーの瞳は、グリムの手に握られている『ドラゴンバスター』を真っ直ぐ見つめると、その『ドラゴンバスター』にランクアップ召喚を使用した。
『ランクアップ召喚を使用しました。『ドラゴンバスター(A):Lv9』が『シャカの悟り(S):Lv1 ※賢者専用』にランクアップしました』
Aランクアーティファクトが無事Sランクアーティファクトへと昇華したと同時、これまでと僅かに勝手が違う事態に、アーサー達一行は一瞬言葉を詰まらせたのだった。
「ひとまずSランクアーティファクトへのランクアップは成功……って事でいいんですよね……?」
「ああ、まぁ……一応な」
新たに成った『シャカの悟り(S):Lv1 ※賢者専用』を一番近くで手にしているアーサーと、その隣で『シャカの悟り』をまじまじと見つめているグリムは、何とも言えない表情を浮かべていた。
色々思う所はあれど、アーサーとグリムが今思っている事は至極シンプル且つ、同じ事を思っていた。
「確かにSランクアーティファクトへランクアップ出来たのは偉業だが……。これ“賢者専用”って事はアレだよな、使えねぇよな? 俺」
「そう……ですよね……。やっぱそういう認識で合ってますよね?」
次の瞬間、グリムがキレた。
「おいコラ、アーサーテメェッ! 俺のアーティファクトに何晒しとんじゃボケー!!」
「そ、そんな事言われましてもッ! まさかこんな事になるなんて知らなかったんですよー!」
「ふざけんな! 俺のアーティファクトだ! “剣士専用”のSランクをもう一回出せコラァァ!」
「落ち着いてよグリム。今はアーサー君を責めてる場合じゃないでしょ」
マリアの救済的一言により、今まさにグリムに斬り殺されそうであったアーサーは、間一髪の所で命が助かった様だ。
「コイツを責めないで誰を責める? どうすんだよ、俺のアーティファクト」
「ごめんなさい……」
「アーサー君は悪くないわよ。寧ろAランクをSランクにランクアップさせたんだから、とんでもない事よこれ」
「そうだよグリム☆ アーサー様だってワザとやったんじゃないんだし」
「剣が1つ減った今のグリムなら勝てるかもしれませんね」
「お前そこまでして勝ちたいのかよ……。それで勝って嬉しいのか? 逆によ」
そんな会話をしながら、ひとまず気を落ち着かせたグリム。そこでマリアが、申し訳なさそうな顔をしているアーサーにもう一度ランクアップ召喚をすよう促す。
「アーサー君、ひょっとしたらSランクへのランクアップ召喚はこれまでと違って、不規則なのかもしれないわね。試しにもう一度やってみましょう」
「え、でも……もし失敗したら大変ですよ。特にグリムさんが……」
「Sランクにアップさせてるんだから、失敗と言うのは違うわよ。大丈夫、グリムは放っておけばいいわ」
「良くねぇだろ! 次失敗したら只じゃおかねぇぞ」
「それならグリムは後でいいわ。アーサー君、私のアーティファクトで試して頂戴」
マリアにそう言われたアーサーは、一抹の不安を抱えながらも、再びランクアップ召喚を試みた。