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シェリル・ローライン

【スキル】勇者(A):Lv3
・勇者の証(Lv1上昇ごとに能力値+2000)
・スキルP:7,777

【サブスキル】
・勇者を紡ぐ者(使用不可)

【装備アーティファクト】
・スロット1:『エルフソード(B):Lv3』
・スロット2:『エルフの草冠(B):Lv3』
・スロット3:『エルフの羽(B):Lv3』
・スロット4:『エルフの腕輪(B):Lv3』
・スロット5:『エルフアンクル(B):Lv3』

【能力値】
・ATK:6000『+5200』
・DEF:6000『+2600』
・SPD:6000『+2600』
・MP:6000『+2600』

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 ステータスを見たアーサーとモルナは震えた。

「アーティファクトの装備無しでも能力値が6,000越え……」
「シェリルえぐくない!? ATKなんて10,000超えてるよ! つよッ!」

 これぞ勇者に選ばれた者の真価。
 その力はまさに強大であり、まだまだ未知数でもあった。

「これでまた強くなれました。今度はアーサーもモルナも傷つかないよう、必ず私が守り切ってみせます」
「「かっこいい……」」

 本来ならアーサーがシェリルやモルナに向かって格好つける所だが、シェリルが男顔負けの勇ましさを見せつけ、そのシェリルの尊さに思わずアーサーとモルナは目も心も奪われてしまったようだ。

「って、違うだろ! シェリルに頼ってばかりじゃダメだ。僕が皆を守れるくらい強くならないといけないんだ!」

 リバースフロアでの経験がアーサーやシェリルの意識を更に高めた。今のままでは通用しない。ダンジョンでは僅かな油断が命取りとなる。

「アーサー様も格好いい!」
「よせ、すぐにくっつくなモルナ……!」
「アーサーが嫌がっていますよ。離れて下さいモルナ」
「え~、シェリルまでノリ悪いなぁ」

 納得いかない表情を浮かべながら、モルナは渋々アーサーから離れる。

 そして。

 一切空気を読まない自由なモルナはアーサーの耳元でそっと呟いた。

「アーサー様大変ですねぇ、両手に花で。私かシェリルかを選ぶなんて贅沢の極みじゃん☆」
「なッ!? またモルナはそんな事ばっか言って。それより早く周回するぞ」
「グフフフ」

 いつものように悪戯っぽく言ったモルナだが、その“真意”にアーサーは当然気付いていない。しかし、モルナは気付いていた。

 アーサーとシェリルが共に辛い過去を乗り越えた事で変化が生まれ、シェリルの雰囲気が明らかに変わった事は勿論、彼女が“乙女”としてアーサーを意識している事を、モルナは誰よりも早く察知していたのだ――。

 だがモルナ2人の間に何があったのかは知らない。
 アーサーとシェリルが過去を乗り越えた時、モルナはエレインと買い物に行っていたからだ。では何故モルナは気付いたのだろうか……。

 その答えは単純明快。これが女の勘というやつであり、野生の鼻が利いたという事。

 モルナはあの日、帰って来た瞬間にアーサーとシェリルの異変を察知していたのだ。何があったかは分からないが、何かが起こった事は理解出来たモルナ。だが彼女はこれといって深く詮索はしなかった。いや、する必要がなかった。それは冷静でクールなシェリルが思いの外“分かりやすかった”からだ――。

 エレインも勿論シェリルの変化は直ぐに分かったのが、エレインはただシェリルが仲良くなって自分達に心を開いてくれたとしか思っていなかった。

 まさか神Sランクと言っても過言ではないスーパー美女のシェリルが、事もあろうかごくごく普通の平凡な、優しさしか取り柄の無いような兄に好意を抱くとは微塵も思っていないようである。

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「さて。僕も上げられる分をレベルアップしようかな」

 そう言ったアーサーもリバースフロアで稼いだスキルPを使用。
 シェリルほどの大きな変化はないものの、しっかりスキルレベルが上がった。


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アーサー・リルガーデン

【スキル】召喚士(B): Lv34
・アーティファクト召喚(30/25+5)
・ランクアップ召喚(10/10)
・スキルP:1,017

【サブスキル】
・召喚士の心得(召喚回数+5)

【装備アーティファクト】
・スロット1:『エルフソード(B):Lv3』
・スロット2:『エルフの草冠(B):Lv3』
・スロット3:『エルフの羽(B):Lv3』
・スロット4:『エルフの腕輪(B):Lv3』
・スロット5:『エルフアンクル(B):Lv3』

【能力値】
・ATK:15『+5200』
・DEF:18『+2600』
・SPD:21『+2600』
・MP:25『+2600』

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「シェリルと比べるとかなり弱いけど、それでもやっぱBランクアーティファクトの能力値は凄まじいな」
「ねぇねぇアーサー様。私のアーティファクトもランクアップしてほしいんだけど☆」
「ああ、勿論さ。っていうか元々そのつもりだったしね」
「やったー! 流石アーサー様、大好き!」

 モルナは決して弱くない。
 ただやはりこの間のリバースフロアでの一件が、今まで以上にアーサーの警戒心を強くしていた。無理して戦う必要はない。でも身を守る為にもっと強いアーティファクトを装備しおくに越した事はないだろうとアーサーは考えていたのだ。

「本当はこの間リバースフロアで手に入れた『アンデット獣の毛皮(A):Lv1』の召喚を試してみたかったんだけど、Aランクはまだ出来ないからね。
それに天Bランクの昇格テストまで2、3日余裕がある。それまでに出来るだけ全員のアーティファクトをレベルアップして、イヴさんが言っていたようにジャックさん達と同じ“神Sランク”に早く上がろう」

 そう。
 アーサー達の次なる目標はジャック率いる精霊の宴会と同じ神Sランクにまで上がる事。理由は勿論魔王復活を阻止する為だ。昨夜のイヴの話によれば、時間はもう限られているとの事。

「でも神Sランクって超ヤバくない? 世界トップの精霊の宴会がやっと辿り着いた所にモルナ達が行けるのかな?」

 モルナの意見がど正論。
 それはアーサーも全く同じ事を思っている。

「僕も神Sランクに上がると言いながら実感がまるでないよ。でもジャックさん達も待ってくれているし、この召喚スキルで僕の世界は一変した。
だからまだスキルに可能性があるなら、僕はもう2度と諦るような事だけはしたくない。まぁ粋がってこの間みたいに死にかけたら意味ないけど……」
「本当だよね。まぁモルナはアーサー様に付いて行くだけだから、これからも宜しく☆」
「ハハハ、なんだそれ」
「私も一生アーサーに連れ添いますよ」

 誤解を生みかねない発言をしたシェリル。
 一瞬アーサーも戸惑いの表情を見せたが、一先ずこの日はモルナのアーティファクトのレベルアップに力を注いだのだった――。