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~ダンジョン・メインフロア~

「あら、久しぶりねアーサー君。怪我の具合はどう? ずっと心配していたのよ」
「心配をお掛けしてすみませんでしたリリアさん。お陰様でもう大丈夫です!」
「そう。それは良かったわ。(うッ! 久々のその可愛い笑顔、堪らないわ~)」

 アーサーはリバースフロア以来の久々のダンジョン。怪我も何とか動けるまでに回復し、シェリルとモルナと共に今日から再びダンジョンに挑む事に。

「リリアさん。復帰早々あれなんですけど、上のフロアに挑戦したいので“天《てん》Bランク”の昇格テストを受けられますか?」

 アーサーの言葉に思わずリリアも驚いたが、アーサーは既にフロア69もクリアしている。我が子の成長を見届ける親のような眼差しでアーサーを見るリリアは、今の話と全く関係のない己の欲求をただただ抑え、受付嬢としての仕事をそつなくこなすのであった。

「今度は天Bランクへの昇格テストね。分かったわ。直ぐに手続きしておくわね。多分また2、3日で受けられると思うわよ」
「はい、分かりました。ありがとうございます。そうしたら今日は取り敢えずフロア周回に行ってきます。体を慣らしておかないと」
「そうね。この間みたいな事はもう起こらないと思うけど、くれぐれも注意してね。(そういえばあのシェリルって子、なんだか前と雰囲気が違うわね。もしかして……私のアーサー君を食べたんじゃないでしょうね――!)」

 リリアがシェリルにあらぬ疑いを掛けている事など知らず、話し終わったアーサー達は早速ダンジョンへと入ったのだった。

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~ダンジョン・フロア60~

「たった数日来なかっただけなのに、なんだか懐かしい感じだな」
「リバースフロア以来ですね」
「確かに。またリバースフロアに入ったらヤバいよね! アハハハ☆」
「それ全然笑えないぞモルナ」

 いつもの調子でそんな会話をする3人。
 久しぶりのダンジョンの空気を吸ったアーサーは一先ず自分のステータスを確認した。


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アーサー・リルガーデン

【スキル】召喚士(B): Lv30
・アーティファクト召喚(30/25+5)
・ランクアップ召喚(10/10)
・スキルP:60,017

【サブスキル】
・召喚士の心得(召喚回数+5)

【装備アーティファクト】
・スロット1:『エルフソード(B):Lv3』
・スロット2:『エルフの草冠(B):Lv3』
・スロット3:『エルフの羽(B):Lv3』
・スロット4:『エルフの腕輪(B):Lv3』
・スロット5:『エルフアンクル(B):Lv3』

【能力値】
・ATK:15『+5200』
・DEF:18『+2600』
・SPD:21『+2600』
・MP:25『+2600』

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「うわぁ。本当にBランクアーティファクト装備してるよ。しかも全部最上物の“エルフ”だし。凄いな……」

 改めて見た自分のステータスに感心するアーサー。
 リバースフロアの時はそんな感傷に浸る暇さえなかった。

「能力値もとんでもない事になってる。でもこれでもあのアンデットキマイラは倒し切れなかった。って、スキルPもかなり増えてるじゃん! やっぱそれだけ危なかったんだよな……リバースフロア。命があって良かったよ本当に」

 あの日の事を思い返したアーサーの口からはしみじみとした言葉が零れる。

(スキルPがこれだけあれば、スキルレベルも一気に上げれるんじゃ……)

 ウォッチでレベルの詳細を確認するアーサー。
 すると、Lv30から次のLv31へ上げるのに必要なスキルPは10,000となっていた。レベルが上がる事に必要なスキルPは僅かに上昇するが、単純計算でも4~5レベルは上げられそうだ。

 アーサーがそんな事を考えていると、ふとある事を思い出す。

「ちょっと待った。シェリルは確かスキルレベル上げるのに130,000Pぐらい必要だったよね? 今回ので60,000Pも貰ってるから、そろそろ溜まってるんじゃないか?」
「うん。溜まってるみたいです」

 シェリルはそう言いながら、アーサーにステータスを見せた。


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シェリル・ローライン

【スキル】勇者(A):Lv2
・勇者の証(Lv1上昇ごとに能力値+2000)
・スキルP:137,777

【装備アーティファクト】
・スロット1:『エルフソード(B):Lv3』
・スロット2:『エルフの草冠(B):Lv3』
・スロット3:『エルフの羽(B):Lv3』
・スロット4:『エルフの腕輪(B):Lv3』
・スロット5:『エルフアンクル(B):Lv3』

【能力値】
・ATK:4000『+5200』
・DEF:4000『+2600』
・SPD:4000『+2600』
・MP:4000『+2600』

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「相変わらず恐ろしい能力値だ……。こんなの見た事ない」

 何度もシェリルの次元の違うステータスを見せつけられているアーサーであったが、未だに慣れない様子で見る度に驚いている。

「シェリルの数値やっばいね☆ 流石勇者!」
「アーティファクトはアーサーの力ですが、これでも剣術は磨き上げてきたので自信がありますよ」

 何気なくモルナと話すシェリルは、明らかにこれまでと雰囲気が一変していた。これは間違いなく過去と向き合えた成果だろう。シェリルはエレインやモルナ、そしてアーサーと接する態度が変わった。

 変わったと言っても本人はきっと無自覚。以前よりも表情が豊かになり、言葉からも気持ちや感情が伝わってくる。

(前から綺麗だとは思っていたけど、この間の一件からより綺麗に見えるんだよな。……可愛い……)

 以前と明らかに違っているのはアーサーもまた然り。
 彼が自分の本当の気持ちに気付くのは、もう少し後の話しだろうか――。

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「よし。じゃあ兎も角まずはシェリルのスキルレベルを上げようか」
「分かりました。上げてみます」

 ウォッチを操作するシェリルはスキルPを使用。

 そして。

『スキルPを130,000使用。勇者Lv3になりました。能力値が上がります』

 白銀の勇者は更なる高みへと登る――。