~ダンジョン・フロア1~
アーサーが強くなる方法。それは“召喚をしまくる”という一択のみ。通常のアーティファクト召喚も新たなランクアップ召喚も日の上限回数が決まっている以上出来る事は限られる。
しかし、塵も積もれば山となる。
これまで底辺を這いつくばってきたアーサーにとってはたかが数日の我慢など無問題。早速召喚を開始するのだった――。
**
・召喚1日目。
アーサーは今日はフロアを周回する前に、全ての召喚を先に使った。1日の召喚可能数はランクアップ召喚を含めて10回。どれからレベルを行ってもそこまで大きな差はない為、アーサーはひとまず全ての装備のレベルMAXを目指す。
まずはアーティファクト召喚&ランクアップ召喚を1回ずつ使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv1』を生み出し更にアーティファクト召喚。
Dランク以上のランクアップが出来ない今、アーサーは残り回数8を全て均等にアーティファクト召喚に使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv1』→『ゴブリンの帽子(D):Lv4』
『ゴブリンアーマー(D):Lv3』→『ゴブリンアーマー(D):Lv4』
『ゴブリンのグローブ(D):Lv2』→『ゴブリンのグローブ(D):Lv4』
『ゴブリンの草履(D):Lv2』→『ゴブリンの草履(D):Lv4』
日の上限回数を全て使い終えたアーサーは、そのレベルアップしたアーティファクトでそのままフロアを周回。初日は魔鉱石を25個入手して終了。
**
・召喚2日目。
昨日より少し上のフロア5より上の周回。初日と同様に先に召喚を全て使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv4』→『ゴブリンの帽子(D):Lv7』
『ゴブリンアーマー(D):Lv4』→『ゴブリンアーマー(D):Lv7』
『ゴブリンのグローブ(D):Lv4』→『ゴブリンのグローブ(D):Lv6』
『ゴブリンの草履(D):Lv4』→『ゴブリンの草履(D):Lv6』
この日のレベルアップ完了。アーサーは強化されたアーティファクトでその後も順調にフロアを周回。魔鉱石を32個入手して終了。
**
・召喚3日目。
この日も同じフロアの周回。初日と2日目と同様に先に召喚を全て使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv7』→『ゴブリンの帽子(D):Lv9』
『ゴブリンアーマー(D):Lv7』→『ゴブリンアーマー(D):Lv9』
『ゴブリンのグローブ(D):Lv6』→『ゴブリンのグローブ(D):Lv9』
『ゴブリンの草履(D):Lv6』→『ゴブリンの草履(D):Lv8』
全ての装備がレベルMAX目前。
武器である『良質な剣(D):Lv9』以外は最上物のゴブリンアーティファクト。連日のレベルアップでこの日はなんと魔鉱石を51個入手して終了。
**
「よしよし。順調にアーティファクトをレベルアップ出来ているぞ。未だにとても自分のステータスだとは思えない。驚きだ」
ウォッチでステータスを確認しているアーサーは思わずそんな独り言が漏れていた。
====================
アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(0/10)
・ランクアップ召喚(0/3)
・スキルP:333
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『ゴブリンの帽子(D):Lv9』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv9』
・スロット4:『ゴブリンのグローブ(D):Lv9』
・スロット5:『ゴブリンの草履(D):Lv8』
【能力値】
・ATK:15『+300』
・DEF:18『+150』
・SPD:21『+140』
・MP:25『+150』
====================
Dランクアーティファクトになってからのステータス上昇率は凄い。これまでのスライムアーティファクトとは比べものにならない数値。同じモンスターネームのアーティファクトにもかかわらず、ランクが1つ上がるだけでここまでさが出るのかと改めて思い知らされたアーサー。
兎にも角にも彼はこの3日間で急成長を遂げ、ついでに合計108個の魔鉱石を入手。アーサーは32,400Gも稼いでいたのだった。
**
~ダンジョン・メインフロア~
そして4日目。
全てのDランクアーティファクト装備をレベルMAXにし終えたアーサーは受付のリリアと何やら話しをし始めた。
「リリアさん! “約束通り”全てのアーティファクトをDランクで揃えました。レベルもMAXです!これで“上のフロア”に挑んでも大丈夫ですよね!」
「あら、本当に揃えたのねアーサー君。偉いわ。お姉さんからご褒美をあげまーす♡」
――ばふっ。
リリアはアーサーの耳元で色っぽい声を出すと、そのままアーサーの顔を自身の谷間に埋め込んだ。アーサーは少し抵抗しつつも、どうやらまんざらでもない様子。
(本当に可愛い生き物ねぇ。ちょっと逞しくもなったかしら。興奮しちゃう)
「あ、あの、リリアさん……! 早速上のフロアに行ってきてもいいですか?」
「そうだったわね。ちゃんと約束を守ったし、この能力値なら問題ないわ。上のフロアへの挑戦を許可してあげる」
「よっし!」
アーサーは先日リリアと約束をしていた。全ての装備をDランクアーティファクトで揃え、更に魔鉱石を100個以上集められたら上のフロアへ挑んでも良いと――。
上のフロアに行けば勿論出現するモンスターも強く多くなるし、フロア攻略自体がは難しくもなる。だがそれ相応のリターンもあった。何よりアーサーは日々強くなっていく自分の力を純粋に試したいと思っていた。
「でもアーサー君、行くのはいいけど何処まで挑戦するつもりかしら? 今のアーサー君の能力値だけでいうなら一応フロア20までは行けるけど……。流石に1人でフロア19のボスは厳しそうね。
仮に討伐出来たとしても、フロア20に上るには1度“昇格テスト”も受けないといけないし」
昇格テスト――。
それは各ハンターに定められている強さの証でもある“ランク”を上げるもの。このハンターランクは現状、全部で5段階の強さに振り分けられている。
最も下のフロア1~フロア19を攻略するハンターが“新《しん》Eランク”。
アーサーもここである。
その上のフロア20~49を攻略するハンターが“人《じん》Dランク”。
フロア50~69を攻略するハンターが“炎《えん》Cランク”。
フロア70~79を攻略するハンターが“天《てん》Bランク”。
フロア80~89を攻略するハンターが“竜《りゅう》Aランク”。
今まではこの5段階のハンターランクが当たり前となっていたが、つい先日、ここ数十年進展がなかった前人未到の“フロア90”を攻略した者達によって新たなハンターランクが誕生していた。
それが“神《かみ》Sランク”――。
アーサーの実力では程遠い、まさに神の領域の選ばし実力者のみが辿り着ける境地である。
「そうか、昇格テストがありましたね。だったら一気に行けるとこまで行って、その後の事はその時考えます!」
フロアにはそれぞれ決まったボスが存在する。
新Eランクはフロア10のギガスライムとフロア19のビッグゴブリン。これまでのアーサーでは夢のまた夢の話であったが、Dランクアーティファクトを揃えた今の実力ならばギガスライムは1人でも勝てるレベル。
問題はその上のビッグゴブリンだろう。
ハンターと言っても本業はまだ学業であるアーサー。彼がダンジョンに挑めるのはアカデミー終わりの夕方から夜にかけての数時間と休みの日のみとなる為、前から少しでも上のフロアで効率よく稼ぎたいと思っていた。
「分かったわ。ならアーサー君が挑戦出来るフロアまで頑張ってみて。ただし、絶対に無茶はしない事。それと引き続きまだスキルの事は2人の秘密。守れるかしら?」
「はい! 必ず守ります!」
(やだ、可愛い。持って帰りたい――)
内なる欲求を堪え、リリアはアーサーの上のフロア挑戦を許可したのだった。
アーサーが強くなる方法。それは“召喚をしまくる”という一択のみ。通常のアーティファクト召喚も新たなランクアップ召喚も日の上限回数が決まっている以上出来る事は限られる。
しかし、塵も積もれば山となる。
これまで底辺を這いつくばってきたアーサーにとってはたかが数日の我慢など無問題。早速召喚を開始するのだった――。
**
・召喚1日目。
アーサーは今日はフロアを周回する前に、全ての召喚を先に使った。1日の召喚可能数はランクアップ召喚を含めて10回。どれからレベルを行ってもそこまで大きな差はない為、アーサーはひとまず全ての装備のレベルMAXを目指す。
まずはアーティファクト召喚&ランクアップ召喚を1回ずつ使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv1』を生み出し更にアーティファクト召喚。
Dランク以上のランクアップが出来ない今、アーサーは残り回数8を全て均等にアーティファクト召喚に使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv1』→『ゴブリンの帽子(D):Lv4』
『ゴブリンアーマー(D):Lv3』→『ゴブリンアーマー(D):Lv4』
『ゴブリンのグローブ(D):Lv2』→『ゴブリンのグローブ(D):Lv4』
『ゴブリンの草履(D):Lv2』→『ゴブリンの草履(D):Lv4』
日の上限回数を全て使い終えたアーサーは、そのレベルアップしたアーティファクトでそのままフロアを周回。初日は魔鉱石を25個入手して終了。
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・召喚2日目。
昨日より少し上のフロア5より上の周回。初日と同様に先に召喚を全て使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv4』→『ゴブリンの帽子(D):Lv7』
『ゴブリンアーマー(D):Lv4』→『ゴブリンアーマー(D):Lv7』
『ゴブリンのグローブ(D):Lv4』→『ゴブリンのグローブ(D):Lv6』
『ゴブリンの草履(D):Lv4』→『ゴブリンの草履(D):Lv6』
この日のレベルアップ完了。アーサーは強化されたアーティファクトでその後も順調にフロアを周回。魔鉱石を32個入手して終了。
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・召喚3日目。
この日も同じフロアの周回。初日と2日目と同様に先に召喚を全て使用。
『ゴブリンの帽子(D):Lv7』→『ゴブリンの帽子(D):Lv9』
『ゴブリンアーマー(D):Lv7』→『ゴブリンアーマー(D):Lv9』
『ゴブリンのグローブ(D):Lv6』→『ゴブリンのグローブ(D):Lv9』
『ゴブリンの草履(D):Lv6』→『ゴブリンの草履(D):Lv8』
全ての装備がレベルMAX目前。
武器である『良質な剣(D):Lv9』以外は最上物のゴブリンアーティファクト。連日のレベルアップでこの日はなんと魔鉱石を51個入手して終了。
**
「よしよし。順調にアーティファクトをレベルアップ出来ているぞ。未だにとても自分のステータスだとは思えない。驚きだ」
ウォッチでステータスを確認しているアーサーは思わずそんな独り言が漏れていた。
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アーサー・リルガーデン
【スキル】召喚士(D): Lv10
・アーティファクト召喚(0/10)
・ランクアップ召喚(0/3)
・スキルP:333
【装備アーティファクト】
・スロット1:『良質な剣(D):Lv9』
・スロット2:『ゴブリンの帽子(D):Lv9』
・スロット3:『ゴブリンアーマー(D):Lv9』
・スロット4:『ゴブリンのグローブ(D):Lv9』
・スロット5:『ゴブリンの草履(D):Lv8』
【能力値】
・ATK:15『+300』
・DEF:18『+150』
・SPD:21『+140』
・MP:25『+150』
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Dランクアーティファクトになってからのステータス上昇率は凄い。これまでのスライムアーティファクトとは比べものにならない数値。同じモンスターネームのアーティファクトにもかかわらず、ランクが1つ上がるだけでここまでさが出るのかと改めて思い知らされたアーサー。
兎にも角にも彼はこの3日間で急成長を遂げ、ついでに合計108個の魔鉱石を入手。アーサーは32,400Gも稼いでいたのだった。
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~ダンジョン・メインフロア~
そして4日目。
全てのDランクアーティファクト装備をレベルMAXにし終えたアーサーは受付のリリアと何やら話しをし始めた。
「リリアさん! “約束通り”全てのアーティファクトをDランクで揃えました。レベルもMAXです!これで“上のフロア”に挑んでも大丈夫ですよね!」
「あら、本当に揃えたのねアーサー君。偉いわ。お姉さんからご褒美をあげまーす♡」
――ばふっ。
リリアはアーサーの耳元で色っぽい声を出すと、そのままアーサーの顔を自身の谷間に埋め込んだ。アーサーは少し抵抗しつつも、どうやらまんざらでもない様子。
(本当に可愛い生き物ねぇ。ちょっと逞しくもなったかしら。興奮しちゃう)
「あ、あの、リリアさん……! 早速上のフロアに行ってきてもいいですか?」
「そうだったわね。ちゃんと約束を守ったし、この能力値なら問題ないわ。上のフロアへの挑戦を許可してあげる」
「よっし!」
アーサーは先日リリアと約束をしていた。全ての装備をDランクアーティファクトで揃え、更に魔鉱石を100個以上集められたら上のフロアへ挑んでも良いと――。
上のフロアに行けば勿論出現するモンスターも強く多くなるし、フロア攻略自体がは難しくもなる。だがそれ相応のリターンもあった。何よりアーサーは日々強くなっていく自分の力を純粋に試したいと思っていた。
「でもアーサー君、行くのはいいけど何処まで挑戦するつもりかしら? 今のアーサー君の能力値だけでいうなら一応フロア20までは行けるけど……。流石に1人でフロア19のボスは厳しそうね。
仮に討伐出来たとしても、フロア20に上るには1度“昇格テスト”も受けないといけないし」
昇格テスト――。
それは各ハンターに定められている強さの証でもある“ランク”を上げるもの。このハンターランクは現状、全部で5段階の強さに振り分けられている。
最も下のフロア1~フロア19を攻略するハンターが“新《しん》Eランク”。
アーサーもここである。
その上のフロア20~49を攻略するハンターが“人《じん》Dランク”。
フロア50~69を攻略するハンターが“炎《えん》Cランク”。
フロア70~79を攻略するハンターが“天《てん》Bランク”。
フロア80~89を攻略するハンターが“竜《りゅう》Aランク”。
今まではこの5段階のハンターランクが当たり前となっていたが、つい先日、ここ数十年進展がなかった前人未到の“フロア90”を攻略した者達によって新たなハンターランクが誕生していた。
それが“神《かみ》Sランク”――。
アーサーの実力では程遠い、まさに神の領域の選ばし実力者のみが辿り着ける境地である。
「そうか、昇格テストがありましたね。だったら一気に行けるとこまで行って、その後の事はその時考えます!」
フロアにはそれぞれ決まったボスが存在する。
新Eランクはフロア10のギガスライムとフロア19のビッグゴブリン。これまでのアーサーでは夢のまた夢の話であったが、Dランクアーティファクトを揃えた今の実力ならばギガスライムは1人でも勝てるレベル。
問題はその上のビッグゴブリンだろう。
ハンターと言っても本業はまだ学業であるアーサー。彼がダンジョンに挑めるのはアカデミー終わりの夕方から夜にかけての数時間と休みの日のみとなる為、前から少しでも上のフロアで効率よく稼ぎたいと思っていた。
「分かったわ。ならアーサー君が挑戦出来るフロアまで頑張ってみて。ただし、絶対に無茶はしない事。それと引き続きまだスキルの事は2人の秘密。守れるかしら?」
「はい! 必ず守ります!」
(やだ、可愛い。持って帰りたい――)
内なる欲求を堪え、リリアはアーサーの上のフロア挑戦を許可したのだった。