俺はその後、他の連中と会話をしていて、ふと気付いた。

「あれ?ホムラの奴がいないな?どこにいるんだ?」

食堂を見渡すと、端の方でボッチを発見する。

たく、しょうがねえな。

俺は静かに近づき、声をかける。

「おい、そんなに端っこでどうした?コミュ障発動か?」

「ユ、ユウマ!だ、誰がコミュ障ですか!?ワタクシは、ちょっと1人になりたいと思っただけですわ!」

「ふーん、そっか。じゃあ、邪魔しちゃ悪いか。ではな」

「あ!……別に隣に座ってもいいのですよ?」

相変わらず、素直じゃないなぁ……。
まあ、最近はそれも可愛く思う自分がいるけどな。

「はいはい、では座らせて頂きますね」

「ええ、許可しますわ」

「たく……ここは身内しかいないから、人見知りのお前でも問題ないと思っていたんだが?」

「誰が人見知りですって!?ワタクシはちょっと人がたくさんいるなとか、視線を感じるなとか、話しかけるタイミングがわからないとか思っているだけですわ」

「いや、それが人見知りだから。人見知りで、寂しがり屋とかどうなってんだか。視線を感じるのは、仕方ない。お前みたいな美人はそうはいないからな」

「び、美人っ……!?」

「ククク、相変わらず耐性がない奴」

こいつをからかうのは、楽しいからな。

「からかいましたわね!?」

「いや、本心だが?」

そんな会話をしていると、母上とエリカがやってくる。

「ユウマ、そちらのお嬢さんも紹介してくれる?」

「お嫁さん候補なのー?」

「ただの仲間ですよ。おい、何赤くなっている?勘違いされるぞ?」

「う、うるさいですわ!赤くなんてなってないですわ!」

いや、そんな真っ赤な顔で言われても……。

「あらあら。シノブさんといい、ユウマも隅に置けないわね」

「むむむ。お義姉さん候補が増えたよー」

俺は、溜息をつく。
女性はこういう話が好きだね、本当に。

「まあ、とりあえず座ってください」

2人が対面に座って、挨拶をする。

「ホムラさんでしたよね?改めて、ユウマの母でエリスと申します」

「妹のエリカです!よろしくお願いします!」

「あ、ご丁寧にありがとうございます。ワタクシの名はホムラと申します。以後、よろしくお願いします」

2人は怪訝な顔だ。
まあ、無理もない。
態度や、口調が違いすぎるからな。

「母上、エリカ。さっきまでと態度は違うが、こっちが普通というかなんというか。人見知りなので、虚勢をはる時や、テンパった時に高圧的な態度になることがあるんです」

「恥ずかしながら、そうなのです。直さなくてはいけないと、思うのですが……」

「あらあら、そうなのですね。でも、誰にでもそういうところはあるから、気にしなくていいと思うわよ」

「ホムラさん!妹としては、お兄ちゃんとの関係が気になります!」

エリカが嫉妬している?可愛い。

「こいつとの関係ねぇ……。まず、ホムラは冒険者ギルドの問題児でな。もちろん、ホムラだけが悪いわけではない。この見た目なので、言い寄ってくる男が後を絶たないわけだ。こいつも普通に断ればいいのに、鏡を見て出直してきたら?とか言うから諍いになる。さらに、同じ女性にはスタイルと美貌で嫉妬され、敬遠され、高圧的な態度もあって疎遠されるわけです。しまいには、パーティークラッシャーという不名誉なあだ名まで付く始末」

「ホムラさん……苦労したわね。私も、似たような経験があるわ」

「確かに、凄い美人だし。スタイルも凄いよね」

「まあ、母上ならホムラの気持ちがわかるでしょう。で、ギルドマスターが頼んできたんですよ。理由は、俺なら無理強いはしないだろうということ。後、高圧的な態度をとられても気にしないことでした。なにせ、親父や兄貴に比べれば可愛いものです。さらに、シノブとアテナが嫉妬とかいじめをするタイプじゃなかったのが大きいですね」

「ええ。最初はユウマも男性なので、口説いてきたり、夜這いをかけてくるのかと思ったのですが、一向にその気配がなくて。ちょっと残念でしたけど……。でも、ワタクシの身体をたまにチラチラ見ていたので、異性に興味がないわけではなさそうでした。なので、当時は不思議に思いましたね」

「ふふ、私の育て方が良かったのかしら」

「お兄ちゃんは、紳士だもん!無理強いなんてしないもん!」

あれ?バレてたの?
でも、仕方ないと思う。
色気半端ないからな……俺だって男の子だし!

「ええ。ユウマはとても優しく、カッコいい殿方です。きっとお母様の教育が良かったのですね。他の冒険者の男性からも、守ってくれましたし」

「別に普通だろ。人が嫌がることはしてはいけないなんて」

だが、正直言って男性の意見もわかる。
俺も風呂上がりのホムラを見た時は、自制心との戦いだった。

「ふふ、ユウマ。母は嬉しいですよ」

「お兄ちゃん、カッコイイ!」

ふぅ、我慢しといて良かった。

「そうした事情もありまして、ワタクシもユウマについて行こうと思い、今もここにいます」

「でもでも、結局お兄ちゃんのこと好きなのー?どうなのー?」

エリカが、爆撃を放つ!
おいおい、それを今聞くの?

「ユ、ユウマを好き!?ワ、ワタクシが!?そんなわけないでございますことよ!?」

ホムラは、分かりやすくテンパったようだ。

「はいはい、口調変わってるから。落ち着いて。ほら、水飲んで」

ホムラは、勢いよく水を一気飲みする。

「プハッ……ワタクシ、ちょっとお花を摘んでまいりますわ。失礼しますわ」

ホムラは耳まで真っ赤になりながら、早足で去って行った。

「エリカ。ホムラはその手の話に耐性ないから、ほどほどにしてやってな」

「本当だね、あんなに美人さんなのに。わたし、追いかけて謝ってくる!」

エリカは、ホムラを追いかけていった。

「ユウマ……もしかして、ホムラさんは身分のある人なんじゃない?」

「……まあ、気づきますよね。俺も、詳しいことは知りません。あいつが話すまでは、聞かないつもりです」

「ふふ、本当に立派になって。なら母から言うことはないわね」

「2人になりましたね。たまには、親子2人で話しますかね」

「あら、良いわね。母の愚痴を聞いてくれる?」

「ええ、もちろん。それが、息子の役目でしょう」

その後、母上の愚痴を聞いて時間は過ぎていく。