ワタクシは、叔父様の私室で思い出していました。

団長と出会ったのは、ワタクシが14歳で冒険者登録をして、しばらく経ってからでした。

ワタクシは貴族であることを隠し、活動をしていました。

幸い、誰も聞いて来なかったので、問題はありませんでした。

当時のワタクシは才能があったので、15歳にして火炎魔法を使いこなせていました。

優秀なワタクシは、どこのパーティでも重宝され、みるみるランクが上がっていきました。

そして自分と同じような年齢の、綺麗な顔立ちの男の子と出会いました。

その人も優秀だと噂になっていたので、最初はライバルだわ!と勝手に思っていました。

そしてことあるごとに、ワタクシはユウマに絡んでいったのです。

そういえば、当時は名前で呼んでいましたね。

ユウマがランク上げれば、追いかけるように上げて。

ワタクシに色目を使わない男性は珍しく、とても楽しかった記憶があります。

そして16になる頃、ある変化が訪れましたわ。

ワタクシは元々整った容姿の自覚はありましたが、この頃から胸やお尻がさらに大きくなってきたのです。

そしてさらに男性から口説かれたり、ごく稀に夜這いをかけようとする男性も現れる次第。

まあ、夜這いをかけようとした男性は、いつのまにか消えていたのですけど。何故でしょう?

そしてワタクシは、ユウマにいつものように話しかけるのを躊躇ってしまいました。

ユウマからも、そうゆう風に見られたらどうしよう?と。

するとユウマの方から、話しかけて来てくれました。

どうした?最近絡んでこないが、なんか変な物でも食ったか?と。

もうワタクシは、嬉しくて嬉しくて。

いつも通りの口調と、態度で話しかけてきてくれて。

でも不思議なことに、そういう風に見てこないユウマに、何故が腹が立ったのを覚えています。

さらにユウマは、パーティメンバーでもないワタクシを、他の冒険者から庇ってくれたりしてくれました。

もちろん、ワタクシが悪い時はしっかりと叱ってもくれました。

もしかしたら、もうこの時好きになっていたのかもしれないですね。

そしてワタクシは、ユウマが作ったパーティーに入りたいと思いつつも、ライバルでもあったので言えませんでした。

さらにシノブという、ワタクシとは違う可愛らしい女の子が新しく加入し、ワタクシのほうが先に会ったのにとか、勝手に嫉妬したりしていました。

そして、同時に羨ましいなと。素直な子で、ユウマに全力でアタックしていましたね。

ワタクシにも、普通に接してくれて嬉しかった記憶があります。

大体女性の方は、嫉妬するか避けるかだったので。

ワタクシは、身分のことは抜きにしても内弁慶で素直じゃなく、いつも高圧的な態度をとってしまう。

そしてパーティを次々と渡り歩き、いつしかクラッシャーという不名誉なあだ名がつけられていました。

たしかに、ワタクシにも悪いところはありました。

でも何も、全部ワタクシの所為にして追い出さなくても。

そしてそんな風に過ごしているうちに、一年と少し経ちました。

あれはワタクシが17歳の誕生日を迎えて、半年ほど経ったある日のことでした。

ユウマが突然パーティメンバーに入らないか?と誘ってきたのです。

ワタクシはおそらくどうして?という顔をしていたのでしょう。

お前みたいなクラッシャー扱えるのはうちくらいだから引き取ってやると。

ワタクシは、その不器用な優しさに心をうたれました。

おそらく、普通にワタクシのことが心配だからとか言われたら、素直じゃないワタクシは意地をはり断ってしまっていたでしょう。

そしてワタクシは仕方ありませんね、そこまで言うなら入ってあげますわと言いました。

我ながら、なんと可愛げのないことでしょう。

すると、ユウマは苦笑して言いました。

じゃあ、よろしく頼むな。お前に非がない限り、俺はお前の味方だ。

もう、さすがに意地っ張りなワタクシも認めました。

ああ、完全に恋していると。

そこからは、ユウマは実際に色々な場面で助けてくれました。

戦闘面ではもちろん、プライベートでもしつこい男性などから助けてくれました。

そして、いつも苦笑して言うのです。たく、しょーがねえなと。

ワタクシは、それが好きでした。

そこからは、楽しすぎてとても早く過ぎました。

そしてワタクシには、期限が迫ってきていました。

ワタクシは、このまま黙って消えようと考えていました。

この楽しかった思い出を胸に、貴族の義務を果たそうと。

そして、ここから怒涛の展開でした。

ユウマが男爵になりました。

ワタクシは叔父様とお爺様に、自分の気持ちを伝えました。

ところがびっくり。とっくに、知っていたと言うのです。

どうやら、影ながら見守っていたそうです。

よくよく考えたら当たり前のことなのですが、同時のワタクシは自分だけの力で生きていると思っていました。

そしてワタクシは、叔父様とお爺様にお礼を伝えました。

ここまで、我儘なワタクシを見守ってくださってありがとうございますと。

そしてその後、ユウマ戦功により準子爵になることが決まりました。

ワタクシは決めました。告白をすると。

その日を迎えたワタクシは、叔父様の私室でソワソワしていました。

どうしよう?もう来てしまう。

ユウマはワタクシが貴族だと知ったらどんな顔をするかしら?告白は受けてもらえるかしら?

そして王城に、ユウマが到着との通達がきました。

ワタクシは席につき、冷静にその時を待ちました。

そして、ユウマが部屋の前まできました。

さて、どうなることかしら?