さて、成り上がるにしても、まずは金がいるな。

うちは、親父が見栄を張るために無駄遣いをしたので、台所事情が火の車だ。

無駄に人を雇ったり、家を改築したりしていた。

なので、お金が早急に必要だった。

「とりあえずは、冒険者ギルドで依頼受けるか」

「お!良いですねー。身体鈍ってしまいますもんねー」


「そういうことだ。よし、とりあえず冒険者ギルドに向かうとするか」

俺はその後、セバスに許可をとり冒険者ギルドへ向かった。

中に入ると、やけに周りから視線を感じる……何故だ?

すると、見た目は30歳ほどで、身長190ほどのガタイの良い男に声をかけられた。

その男は、ニヤニヤしている……なんだ?

「おや?貴族のお嬢ちゃん達が、冒険者ギルドなんかに何の用で?」

「お嬢さん?もしかして俺のことか?」

「おいおい。せっかくそんな可愛い顔してんだから、俺なんていっちゃいけないぜ?おっかない冒険者ばかりで、緊張するのはわかるがね」

「ぷぷぷ、団長お嬢さんだって。あー可笑しい」

俺は状況を理解して、男の顔にアイアンクローを決めた。

「誰がお嬢さんだ!俺は正真正銘の男だ!どこみてやがんだこのボケェ!」

「イテテて!え、男なの?本当に?イタタタ!わかった、わかったから離してくれ!俺が悪かったから!」

周りも騒つく。

「えっ!男の人なの!?」「あんなに綺麗なのに」「いいなー」

俺はどういうことだ?と思いながらも、とりあえず手を離した。

「おー、イテテて。いやーすまん。綺麗どころが2人も入ってきたんで、変なのに絡まれる前に声をかけようと思ったんだけどな」

「いや、変なのに声かけられたが?」

「ははは!そりゃそーだな!いや、すまん。あんまり見ない顔だったからさ」

「いや、悪意がないならいい。こちらこそ、いきなりアイアンクロー決めてすまなかったな」

「いやいや、気にしないでくれ。しかし………貴族様なのに平民に謝るんだな?」

「ん?悪いと思ったら謝るのに、貴族も平民もないだろう?」

「ははは!気に入った!俺の名前はゼノス。冒険者ランク三級の槍使いだ。最近この王都にやってきた」

俺は、道理で知らない顔だと思った。

「俺の名はユウマ-ミストル。この王国で、男爵の爵位を持つ者だ。冒険者ランクは4級で、剣士兼回復役だ。ここ最近は顔をだしていなかったので、あなたが知らないのも無理はないな」

するとゼノスは、素早く片膝立てて顔を下げた。

「これは男爵家当主とは、知らずとはいえ失礼致しました。どうかお許しをいただけますか?」

これには理由がある。
貴族当主とは、それだけ絶大な権力を持つからだ。
貴族子息なんかとは、訳が違う。
無礼を働いた者は、斬られても文句は言えない。

「ああ、許すから顔を上げてくれ。そして、できればさっきまでの口調で頼む。普段ならいざ知らず、ここではただの冒険者だ」

「はー、変わった人だな。わかった。ならそうしよう。へへ、アンタみたいな奴がいるなら、この国に居つくのも良いかもな」

「はは、よく言われる。ところで、別に怒ってないんで聞きたいんだが……何故、俺が女に見えた?」

そう、そうなのだ。
そもそも、そこが疑問だった。
周りの反応見る限り、コイツ以外も思ってた感じだし。

確かに俺は、小さい頃はよく女の子に間違われたが、少なくとも成人を迎えてからはなかったはず。

「えーと、まずは男とは思えない綺麗な顔だろ。そして綺麗な銀髪。腰まである長い髪。漂う気品のような立ち姿。あと、とてもいい匂いがするとかかな」

俺がよほど???という表情をしていたのだろう。
今まで黙っていたシノブが言ってきた。

「団長、あのですねー・・・今までは冒険者の依頼の連続で、泥だらけとは言いませんがそこまで綺麗な生活ではありませんでした。でも今はきちんと睡眠をとり、食事をとり、清潔を保ちという状態です。団長元々の素材はいいんだから、綺麗になるのは当然ですねー。エリス様によく似てますし。なにより極め付けは、その長く綺麗な銀髪の髪でしょうね。それを1本に縛って、前側に流してる男性はほぼいませんから。まさしく男装の令嬢って感じです」

「あー確かに……男爵家当主として、舞踏会や食事会にでるからとあれこれ弄くり回されたなぁ。目の隈もなくなったし、風呂には毎日入って、食事も用意しなくてもでてくるもんなー。あとマッサージされたり、オイル塗られたりしたな。俺自身はそう思わんが……使用人達にも、身嗜みしっかりしたらエリス様そっくり!って。髪は切りたいんだが、エリカが嫌!わたしこれ好き!カッコイイ!と言うもんだから切れんしなぁ」

「まあ、そんな感じですねー」

「えーと、まあつまりそういうことだ。いや、すまなかった」

「いや、こちらこそすまん。おかげで、気づけたから良かったよ。では、そろそろ失礼するよ」

「あ、ちょっと待ってくれ。今度、良かったら一緒に依頼を受けないか?」

「お、いいね。では俺の名刺を渡しておく。これを門番に見せれば、俺に話がいくはずだ」

「ん?そんな物を、会ったばかりの俺に渡していいのか?」

そういや、そうだな……。
だが、なんとなく信頼できる気がする……何故だ?

「……まあ、大丈夫だろう。俺の勘が、そう言っている」

「そうか。では、有り難くもらうとしよう」




俺達はゼノスと別れ、奥の通路を通り受付に行った。

「騒がせてしまって、済まない。仕事が一段落したので、久々に依頼を受けてみようと思うのだが、白き風は今どこにいるかわかるかな?」

受付嬢はポーッとしていたが、我に返ったようだ。

「ひゃい、あ、失礼しました。白き風ですね。今は依頼中で、明日帰還予定ですね」

「うーんそうか。ありがとう。シノブどうする?明日も時間作れるから来てもいいが、今日どうするか」

「2人だと限られますし……さっきの人を誘ってみては?」

「ゼノスか。まだいるかな?とりあえず戻るか。すまん、また来る」

「は、はい、かしこまりました」

俺達は通路を戻って行く。

「ところで、あの受付嬢いつもと違って変じゃなかったか?」

「ふふ、団長に見惚れてましたね。よ!色男!」

「勘弁してくれ。俺はただでさえ、最近の見合い話にうんざりしてるんだ」

「まーしょうがないですよー。優良物件ですし」

「物件とか言うな!たく、これだから貴族はなー」

そして元の入り口の広場に戻り、探すといた。

「おーい、ゼノス!」

「お、どうしたんだ?さっきの今で」

「いや、うちのメンバー依頼中だからいなくてね。で、良かったら依頼を受けないか?」

「お、いいのかい。俺としては願っても無い。んじゃ、いこうぜ」

そうしてまた通路を通り、受付嬢に声をかけた。

「この3人で受けられて、一日で終わる依頼はあるかな?」

「そうですね。今ですと……皆さんの平均が3.5なので、4級のトロール調査または討伐はいかがですか?これはたった今入ってきた情報で、野良のトロールが王都の近くに出現とのこと。まだ人的被害はなく、緊急依頼ではありませんが重要な依頼です。前衛ゼノス様、後衛ユウマ様、遊撃シノブ様なら安心して依頼できます」

トロールというのは身長4~5メートルの魔物で、性格は温厚で草食なので基本的には安全だ。しかしナワバリ意識が強く、その場合は人間だろうがなんだろうが襲いかかる。今回はまだ人的被害がないので、相手が引くようなら討伐はしないということだ。ただ、人に襲いかかっていたら討伐するしかない。

「じゃあ、それで頼む。騎士団などは、犠牲がでないと動けないからな。無辜の民が犠牲になる前に、俺達がなんとかしよう」

「はい!ありがとうございます!では、受注させていただきます。では、こちらが詳しい内容が書かれた依頼書です。気をつけて」

「ああ、ありがとう。行ってくる」

「少し訓練場に行かないか?さすがに、ゴブリンくらいなら問題ないがトロールだからな。軽く、打ち合いしておこう」

「おう、そうだな。いいぜ」

そうして俺達はまず訓練場に向かい、そこで連携などを確認し街を出た。