ここは、剣の国デュラン。

男爵の爵位を継いだばかりの俺は、慣れない書類仕事をしていた。

そんな時、ノックの音が聞こえる。

「ん?だれだ?入っていいぞ」

すると、可愛い妹のエリカが入ってきた。

「お?どうした?エリカ」

「あのね、お兄ちゃんに相談があって……」

「そうか、なんでも言うといい。可愛い妹の相談なら、何よりも優先だ」

「いや……それはそれで、どうかと思うよ?」

「で、どうした?」

「……あのね、ユウマお兄ちゃん……わたし好きな人ができたの!」

俺は、一瞬頭が真っ白になった。


そして、頭を机に打ちつける!
ゴン!という鈍い音がする。
痛い……どうやら、夢ではないらしい。

「ちょ!?お兄ちゃん!?何をしてるの!?」

「いや、現実逃避だ。可愛い妹が好きな人ができたとか言うから。それで……誰だ?」

俺は、覚悟を決めて聞いた。
そして、ろくでもない奴なら、秘密裏に葬り去ろうと思う。

「あ、あのね……第3王子のカロン様なの!」

俺の頭は、再び真っ白になる。



そして、起動した。
カロン?……ああ!あのヒョロイ奴か!
クソ!王子では葬り去れない!
むしろ、俺が葬り去られる!

「それって、あのヒョロイ奴のことか?」

「むー!お兄ちゃん!カロン様は優しくて、カッコイイからいいの!」

「そ、そうか。それは、すまなかった」

どうやら、本気のようだ。
執務室で腕組みをしながら、頭の中で整理してみる。

「えっと……妹がカロン様と結婚するには、まず男爵では駄目だ。最低でも子爵、出来れば伯爵でなければ。だが、カロン様には婚約者がいたはずだから……妹は側室ということに?可愛い妹が側室だと?許さん!だが、伯爵でさえ夢のまた夢なのに、侯爵なんか無理に決まってる……」

「いやいや、お兄ちゃん、声に出てるよ?お兄ちゃん…わたしはただ、お兄ちゃんに話を聞いて欲しかったの。流石に、お母さんとかには言えないもん」

「ん?付き合いたいとか、結婚したいという訳ではないのか?」

「それは……無理があるのは、わかってるし。かといって、すぐには諦められそうにないけど」

すると、エリカは思い出したように言う。

「あ、お兄ちゃん。今更だけど、お仕事の邪魔をしてごめんなさい」

「ふ、可愛い妹のためなら、仕事なんぞどうでもいい」

「いや、邪魔したわたしが言うのもあれだけど、ちゃんとやってね?」

「わかった、わかった」

「じゃあ、御飯の時間になったら呼ぶねー」

バタンと、執務室のドアが閉まった。
「さて、色々どうしたものかな……?」

俺も色々と《《身体に変化》》があったしな……。

俺は今日も含めて、ここ最近起きた色々な出来事を思い出してみる。