こんにちは。
君は、初めましてかな?
あぁ、何年か前に会ったことあるか。
大きくなったなぁ。
あの時8歳って言ってたから、丁度私と千歳が初めて会った時と同じ年だったのか。あれからもう...9年?いやぁ、早い。
どう、元気にしている?
...へぇ、私たちのこと色んな人に聞いて回って来たのか。ありがとね、疲れたでしょう。
...あぁ、此方の声は君には聞こえないんだったね。これにはいつまで経っても慣れないなぁ。

ハル姉、また自分で1人語りしてるの?
いい加減慣れなよ、私も慣れないけど。
ところでこの子、前にも来てくれた子?
前は私よりも小さかったのに...
あっという間に抜かれたねぇ...

14の娘っ子が18の少年に勝てるわけがないだろ、彼は成長期だぞ。
この子がもし次に来てくれた時にはきっと俺も抜かれてるさ。

あーあ、なんで死んじゃった後って成長しないのかなぁ。時間止まらなくても良いじゃん。そう思わない、(ひろ)、ハル(ねえ)

五体満足に戻ってるんだから文句言わないで咲羅(さくら)。私は嫌だよ、死んでも尚大人になっておばあちゃんになってあちこち痛くなってくるの。もう痛い目には十分過ぎるほど遭ったし。

俺もハルと同感だな。
成長して変わっていけるのは生きている人間の特権だよ、きっと。俺たちはもう変わらなくて良い。楽だけどつまんないな、俺たちは。

弘がなんか小難しいこと言ってる...
馬鹿なのに...

おい、最年長に最年少がなんてこと言うんだ。

最年長はハル姉でしょ、24だよ。

いや、一番生まれが早いのは俺だよ。

まぁまぁ2人とも落ち着いて。
ほら、あんなに綺麗なお花持ってきてくれたよ。

...ハルに(なだ)められる日が来るとはね。
あれ、あの白い花、何の花?

紫苑(しおん)だね。素敵な花だ。
花言葉は、「追憶」「貴方を忘れない」だったかな。

ハル姉、花言葉なんて知ってるの?

...あんたらに何の花を供えるか考えるのに調べたんだよ。大変だった。

へーぇ、ハル姉、花言葉とか気にする人だったんだ。

...あなたを呪う、とかの花言葉の花供えたら大変じゃん。

大丈夫、そんな花供えられたら咲羅と一緒に取り憑いてやるよ。

...取り憑いてくれるんだったら供えれば良かったかな。寂しかったし。

そんなことしなくても、ずっと側に居たさ。なぁ、咲羅?

うんうん、ずっと見てたよ。

そうなんだ。...ははっ、なら、いっか。

あ、そろそろ帰るみたいだよ。
もっとゆっくりしていけば良いのに。

誰が墓場でゆっくりしたがるんだよ、
ゆっくりするのは俺たちだけで十分だろ。

だってなかなかお客さん来ないんだもん。

第一に、お墓参りに来てくれる人はお客さんではないよ、咲羅。
第二に、もう私たちが最終決戦やってから30年以上経っていることをお忘れかな?
千歳が遠いのに毎年来てくれてるじゃん、感謝しなくては。

千歳ちゃんと直接面識があるのハルだけなんだよな。俺も会いたかったよ。

同じ町にいたのに。
どうして弘はあんなに死に急いで任務に行ってしまった訳?

任務だったからだよ、仕方がない。

ほらほら2人とも、いつまで喋ってるの?あの子行っちゃうよ。
おーい、また来てね、待ってるから。

元気でね、お花ありがとう。
千歳にもよろしくね。

元気でな、また来いよ。