さて……まずは、相手の様子を見るとしよう。
「ク、クロウ……」
「大丈夫だ、敵ではない。ただ、初めての魔物だ。なので、様子を見る」
奴もこちらの様子を見て……何かくる!!
「………ゴバァ!!」
奴の口から、連続して水の玉が吐き出される!
「名前の通りか!だが……!」
剣で、それら全てを叩き斬る!
「シャー!?」
奴は戸惑い、オロオロしている。
どうやら、必殺の技だったようだな。
「どうした?そんなものか?なら死ね」
「シャ、シャーー!!」
「あっ!逃げるわ!」
奴は3メートルほど跳躍し、木の上に登る。
「逃がすかよ!魔刃剣!!」
「ゲヒャー!?」
胴体を真っ二つにされ、木の上から墜落する!
「フゥ……なるほど……6級の魔物ともなれば、逃げることもあるということか。もしくは、四足歩行の魔物だから賢いということか」
「そ、それに魔法みたいのを使ってきたわね」
「そうだな……カグヤは、攻撃魔法は覚えなかったのか?それとも、覚えられなかったのか?」
「私は覚えられなかったわ。特別、覚えたいとも思わなかったのだけれど……今は覚えたいと思うわ……そしたら、少しはクロウの助けになれるのに……」
ふむ……俺がカグヤを守りたいという想いを、本人に押し付けてはいけない。
カグヤがしたいなら、それを手助けするのも俺の役目であろう。
「……わかった。カグヤが戦う術を学びたいなら、俺は協力を惜しまない。俺に守られるだけでは、カグヤは嫌なのだろう?」
「え!?いいの!?そ、そうなの!クロウとは対等でいたいの!もちろん、クロウみたいに強くはなれないけど……でも、そうしないと私は……クロウに対して一歩も踏み出せない!」
「そうか……わかった。では、帰ったら話し合うとしよう」
「クロウ……ありがとう!」
その後、周囲を警戒しながら魔物をアイテムボックスに入れる。
やはり便利だな……耳を切り取るのを、後回しにできるのはデカイな。
「よし、進むとしよう」
「うん!」
少し吹っ切れた表情になったな。
やはり気にしていたようだな。
俺のエゴで、カグヤを籠の鳥にすることだけはしてはいけない。
その後も、出てくる魔物を始末しながら進んでいく。
そろそろ、引き返した方がいいかもしれんな。
体感的に、お昼ぐらいにはなっているはず……。
すると、カグヤが何かに気づいたようだ。
「あっ!これは確か……うん!この木にリンゴがあるはずだわ!」
「そうなのか……俺には違いがわからん」
俺には、同じような木々が並んでいるように見える。
「ほら!この葉っぱの色見て!他のより、緑が薄いわ!」
「……言われてみれば、たしかに。すごいな、カグヤ」
「エヘヘ、クロウに褒められた……嬉しい」
……可愛い。
何という無邪気な笑顔を……今なら、ドラゴンすら瞬殺できそうだ。
「さて、では俺の出番か……ハァ!!」
木に向かい、正拳突きを放つ!
バサーー!!という音と共に、上から何かが降ってくる。
「わー!すごい!すごい!いっぱいあるわ!」
「さて……都合がいい、来たな。カグヤ!後にしろ!」
「う、うん!」
カグヤを左腕に収める。
すると、音に誘われたのか、大物が釣れたようだ。
ドシーン!ドシーン!と大きな足音が聞こえてくる……。
「来たか……」
「ク、クロウ……あ、あれがドラゴン……!」
現れたのは、3メートルほどのドラゴン。
赤い皮膚をまとい、二足歩行で歩いてくる。
爪は鋭く、牙も強靭、長い尻尾。
これが、レッサードラゴンだな。
「まあ、俺にとってはただのトカゲだな」
「グァァーー!!!」
「きゃっ!?こ、怖い……!」
カグヤは、俺の腰にしがみ付き震えている。
「……お前の様子見はやめだ。カグヤを怖がらせるとは万死に値する……!!」
「ブハァーー!!」
奴から、幅1メートルほどの火の玉が放たれる!
「ク、クロウ!」
「トカゲごときが!!十字魔刃剣!!」
魔力を込めたアスカロンを水平に振る、そしてそのまま腕を上げて振り下ろす!!
一つ目の斬撃が炎を切り裂く!
そして、二つ目の斬撃が奴を切り裂く!!
「グゲェーー!!??」
やつは右半身を切り取られ、徐《おもむろ》に地に伏せる……。
「凄いわ!なに、今の!?色々な技があるのね!?」
「まあな。戦う場所や相手、状況によって使い分けなくてはいけないからな。でないと、臨機応変な対応ができない。魔力の無駄使いしなくて済むしな」
「へぇー!!クロウは凄いわね!褒めてあげる!」
「お、おう……」
いかん……!なんだ!?むず痒いぞ!?
「あれ?クロウ……照れてるの……?ふーん……エヘヘ」
「なんだかなぁ……ほら、そろそろ引き返すぞ」
「え?でも、依頼他にもあったわよね?」
「5級であるレッサードラゴンがいるということは、結構奥まで来ている。それより弱い奴や、バナナは最初の方にあるだろう。というわけで、別のルートから引き返す。運が良ければ、見つかるだろう」
「あっ、そういうことね。うん!わかったわ!」
その後引き返していると、入り口付近でバナナが生っているのを発見する。
「あっ!こんな近くに……まあ、そりゃそうよね。10級の依頼だもんね」
「まあ、俺らは素人だからな。これから学んでいこう。とりあえず、タイミング良いから一度都市に戻ろう。腹も減ったしな。ファイアウルフは、最悪明日以降でも平気だ」
「そうか……お弁当みたいのも必要ね」
「そうなるな。幸い、アイテムボックスがあるからな。行きに何か買って、それを入れておけばいい」
「……ふんふん、私でも出来そうだわ……」
「ん?なにをするんだ?」
「フフーン!……秘密よ!」
なにやら、ご機嫌のようだな。
その後、都市に戻ると……。
「ク、クロウ!みて!ウルフ系の魔物が都市の中に!」
「ああ、あれは……そうか、そういう手もあるか」
「え?どういうこと?」
「あの国にはほとんど存在していなかったから、知らないのも無理はない。あれは、主従契約を結んだ魔物だ。魔力のパスを繋いで、あちらが認めたなら契約が成立する」
「へぇー!!なんでクロウは知ってるの!?」
「ザラス王国では、割と盛んなはず。よく戦場に出てきたからな 、テイマーっていうらしい。この国も魔の森に面しているから、盛んなのかもしれん」
「それは、どんな魔物でも良いの?」
「いや……ある程度の知能がないと無理だったはず。こちらの言葉を理解して、実行できるくらいには」
「へぇー……クロウは頼りになるわね!その……いつもありがとう!これでも、感謝してるのよ……?」
「はは、そんなことはわかっているよ」
とりあえず、魔力を使った技をカグヤに教えてみるか……。
そして、さらにアレができれば……うむ……カグヤを守る良い術を見つけたかもしれん。
「ク、クロウ……」
「大丈夫だ、敵ではない。ただ、初めての魔物だ。なので、様子を見る」
奴もこちらの様子を見て……何かくる!!
「………ゴバァ!!」
奴の口から、連続して水の玉が吐き出される!
「名前の通りか!だが……!」
剣で、それら全てを叩き斬る!
「シャー!?」
奴は戸惑い、オロオロしている。
どうやら、必殺の技だったようだな。
「どうした?そんなものか?なら死ね」
「シャ、シャーー!!」
「あっ!逃げるわ!」
奴は3メートルほど跳躍し、木の上に登る。
「逃がすかよ!魔刃剣!!」
「ゲヒャー!?」
胴体を真っ二つにされ、木の上から墜落する!
「フゥ……なるほど……6級の魔物ともなれば、逃げることもあるということか。もしくは、四足歩行の魔物だから賢いということか」
「そ、それに魔法みたいのを使ってきたわね」
「そうだな……カグヤは、攻撃魔法は覚えなかったのか?それとも、覚えられなかったのか?」
「私は覚えられなかったわ。特別、覚えたいとも思わなかったのだけれど……今は覚えたいと思うわ……そしたら、少しはクロウの助けになれるのに……」
ふむ……俺がカグヤを守りたいという想いを、本人に押し付けてはいけない。
カグヤがしたいなら、それを手助けするのも俺の役目であろう。
「……わかった。カグヤが戦う術を学びたいなら、俺は協力を惜しまない。俺に守られるだけでは、カグヤは嫌なのだろう?」
「え!?いいの!?そ、そうなの!クロウとは対等でいたいの!もちろん、クロウみたいに強くはなれないけど……でも、そうしないと私は……クロウに対して一歩も踏み出せない!」
「そうか……わかった。では、帰ったら話し合うとしよう」
「クロウ……ありがとう!」
その後、周囲を警戒しながら魔物をアイテムボックスに入れる。
やはり便利だな……耳を切り取るのを、後回しにできるのはデカイな。
「よし、進むとしよう」
「うん!」
少し吹っ切れた表情になったな。
やはり気にしていたようだな。
俺のエゴで、カグヤを籠の鳥にすることだけはしてはいけない。
その後も、出てくる魔物を始末しながら進んでいく。
そろそろ、引き返した方がいいかもしれんな。
体感的に、お昼ぐらいにはなっているはず……。
すると、カグヤが何かに気づいたようだ。
「あっ!これは確か……うん!この木にリンゴがあるはずだわ!」
「そうなのか……俺には違いがわからん」
俺には、同じような木々が並んでいるように見える。
「ほら!この葉っぱの色見て!他のより、緑が薄いわ!」
「……言われてみれば、たしかに。すごいな、カグヤ」
「エヘヘ、クロウに褒められた……嬉しい」
……可愛い。
何という無邪気な笑顔を……今なら、ドラゴンすら瞬殺できそうだ。
「さて、では俺の出番か……ハァ!!」
木に向かい、正拳突きを放つ!
バサーー!!という音と共に、上から何かが降ってくる。
「わー!すごい!すごい!いっぱいあるわ!」
「さて……都合がいい、来たな。カグヤ!後にしろ!」
「う、うん!」
カグヤを左腕に収める。
すると、音に誘われたのか、大物が釣れたようだ。
ドシーン!ドシーン!と大きな足音が聞こえてくる……。
「来たか……」
「ク、クロウ……あ、あれがドラゴン……!」
現れたのは、3メートルほどのドラゴン。
赤い皮膚をまとい、二足歩行で歩いてくる。
爪は鋭く、牙も強靭、長い尻尾。
これが、レッサードラゴンだな。
「まあ、俺にとってはただのトカゲだな」
「グァァーー!!!」
「きゃっ!?こ、怖い……!」
カグヤは、俺の腰にしがみ付き震えている。
「……お前の様子見はやめだ。カグヤを怖がらせるとは万死に値する……!!」
「ブハァーー!!」
奴から、幅1メートルほどの火の玉が放たれる!
「ク、クロウ!」
「トカゲごときが!!十字魔刃剣!!」
魔力を込めたアスカロンを水平に振る、そしてそのまま腕を上げて振り下ろす!!
一つ目の斬撃が炎を切り裂く!
そして、二つ目の斬撃が奴を切り裂く!!
「グゲェーー!!??」
やつは右半身を切り取られ、徐《おもむろ》に地に伏せる……。
「凄いわ!なに、今の!?色々な技があるのね!?」
「まあな。戦う場所や相手、状況によって使い分けなくてはいけないからな。でないと、臨機応変な対応ができない。魔力の無駄使いしなくて済むしな」
「へぇー!!クロウは凄いわね!褒めてあげる!」
「お、おう……」
いかん……!なんだ!?むず痒いぞ!?
「あれ?クロウ……照れてるの……?ふーん……エヘヘ」
「なんだかなぁ……ほら、そろそろ引き返すぞ」
「え?でも、依頼他にもあったわよね?」
「5級であるレッサードラゴンがいるということは、結構奥まで来ている。それより弱い奴や、バナナは最初の方にあるだろう。というわけで、別のルートから引き返す。運が良ければ、見つかるだろう」
「あっ、そういうことね。うん!わかったわ!」
その後引き返していると、入り口付近でバナナが生っているのを発見する。
「あっ!こんな近くに……まあ、そりゃそうよね。10級の依頼だもんね」
「まあ、俺らは素人だからな。これから学んでいこう。とりあえず、タイミング良いから一度都市に戻ろう。腹も減ったしな。ファイアウルフは、最悪明日以降でも平気だ」
「そうか……お弁当みたいのも必要ね」
「そうなるな。幸い、アイテムボックスがあるからな。行きに何か買って、それを入れておけばいい」
「……ふんふん、私でも出来そうだわ……」
「ん?なにをするんだ?」
「フフーン!……秘密よ!」
なにやら、ご機嫌のようだな。
その後、都市に戻ると……。
「ク、クロウ!みて!ウルフ系の魔物が都市の中に!」
「ああ、あれは……そうか、そういう手もあるか」
「え?どういうこと?」
「あの国にはほとんど存在していなかったから、知らないのも無理はない。あれは、主従契約を結んだ魔物だ。魔力のパスを繋いで、あちらが認めたなら契約が成立する」
「へぇー!!なんでクロウは知ってるの!?」
「ザラス王国では、割と盛んなはず。よく戦場に出てきたからな 、テイマーっていうらしい。この国も魔の森に面しているから、盛んなのかもしれん」
「それは、どんな魔物でも良いの?」
「いや……ある程度の知能がないと無理だったはず。こちらの言葉を理解して、実行できるくらいには」
「へぇー……クロウは頼りになるわね!その……いつもありがとう!これでも、感謝してるのよ……?」
「はは、そんなことはわかっているよ」
とりあえず、魔力を使った技をカグヤに教えてみるか……。
そして、さらにアレができれば……うむ……カグヤを守る良い術を見つけたかもしれん。