一体どういうことだ?そもそも、俺は名乗ってもいないのだが……。あの人に声をかけて、恩を売ったのが正解だったのか?確かめるか。
「これは、どういうことですか?」
「えっと……」
「私が説明しましょう」
「ギルドマスター!」
ほう?ギルドマスター自らが説明か……。
そこにはシュッとした体型で、平凡な容姿をもつ、30代くらいの男がいた。
「そちらのお嬢さんと、こちらへきて頂けますか?」
「……わかりました」
「ク、クロウ…どうしたの?」
「安心していい。嫌な感じはしない」
これは狙った以上の効果が現れたのかもしれん。手っ取り早く、足場作りができるかもな。
「クロウがいうなら安心ね!」
そのままついていき、奥の個室に通される。
「まずは、感謝を。無償で、この都市を守る手助けをしてくださったとか」
「いえ、人として当然のことをしたまでです。これからお世話になる都市ですから。
それに、お礼はとある人から頂きましたし」
「ふむ……この国は割と寛容です。他国からの流れ者や、追放された者達もいます。なので、貴方達の素性は問いません。
ただ、犯罪を犯せば普通に処罰はされるので、ご注意を。
この都市では、国を守るために強き者を求めています。貴方が活躍してくれるなら、多少のことには目を瞑りますし、貴方達が一方的に悪いわけではないなら問題にはいたしません」
やはり……ここに来て正解だった。噂には聞いていたが、そういう土地柄か。
俺の力では、どうせ目立つのは避けられないからな。だったら、最初から力を見せた方がいい。
「わかりました、助かります。それで5級なのは、ゼトさんのおかげですか」
「……ふむ……強い上に、頭の回転も悪くないようですね。
ええ、貴方のことはゼトから聞いています。とんでもないルーキーが現れたと」
「それで、5級なのですか?」
「ええ、5級からでないと、魔の森の中には入れませんから。駆け落ちには金がいるだろうと、ゼトは言っていましたね」
「か、駆け落ち……!アレ?でも、でも、結果的に……?」
「いやはや、可愛らしい恋人でいいですね」
「ええ、とても可愛いです。
なるほど、そういう決まりがあるのですか。では、お礼をしなくてはいけませんね」
隣ではなぜか、カグヤがアワアワしている。
「それに関しては気にしなくてよいかと。ゼトからの伝言です。都市を守る手伝いをしてくれたらチャラだ、と伝えておけと」
「それなら問題ありません。しばらくお世話になる都市ですから」
「それでは、これからよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
その後受付に戻り、カグヤのギルドカードももらい、簡単に説明を聞いて、依頼が貼ってある掲示板を眺める。
とりあえず、10級の欄を見てみる。
「薬草採取、荷物の整理や運搬、都市の清掃、ゴブリン退治……。
私にもできることはあるかしら?清掃とか、採取とか?」
「そうだな、採取がいいんじゃないか?それなら、俺の依頼のついでに採れるだろう」
「あっ!そうね!クロウの討伐依頼の時に、採取すればいいのね!
……でも、それってズルくはないかしら?」
「そんなことはないさ。パーティーで協力するようなものだ。
……それに、2人で協力して生活するんだろう?」
「クロウ……うん!私は、私にできることをするわ!
その……た、頼りにしてるわよ……?」
「ああ、任せろ。カグヤに頼られることは、俺にとって至上の喜びだ」
「もう!大袈裟よ!」
その後、お試しで8級の討伐依頼書と、10級の採取依頼書を受付に持っていく。
「はい、受注いたしました。1週間以上経つと、自動的に失敗となりますのでご注意ください。
三回失敗すると、降格。10級の場合は、剥奪となりますのでご注意を」
「なるほど、わかりやすいシステムだな。10級を何回も失敗するようなら、そもそも向いていないものな」
「ええ、おっしゃる通りです。では、お気をつけて」
「ありがとう。カグヤ、行こうか」
「うー……緊張してきたわ。……でも、少しワクワクもしてるかも……?」
「……実は、俺もだ。少し、昔を思い出すからかもな」
「そうなの!よくクロウと冒険したわよね!それで、エリゼに叱られるの!」
「いや!カグヤは叱られてないから!叱られ……殺されかけたの俺だけだから!」
「あれー?そうだったかしら?」
そして、俺たちは都市を出て魔の森付近に到着する。
「あっ!あったわ!この薬草よ!あの頃、勉強していたからわかるわ!」
「ほらな?無駄なことなんかないだろう?」
「クロウ……うん!ありがとう!」
「おうよ。さて……俺はレッサーウルフが五匹か」
ドック系の下位の魔物だ。五匹ほどで群れを作り、新人冒険者の死亡率が高いらしい。
理由は簡単だ。四足歩行系の魔物は、下位でも少しは頭が回る。連携を取るので、調子に乗った新人がやられるということだ。
「あっ!クロウ!」
「来たか……だが、所詮は下位。敵との力量差はわからんか」
俺は魔物討伐の経験は少ない。特に、四足歩行系はこの辺りにしかいないので、初めての経験だ。
俺はカグヤの前に立ち、アスカロンを下段に構える。
「ク、クロウ!?ち、近づいてくるわ!?」
「安心しろ。さて……数が多いヤツには、これでいくか……」
「ガウッ!!」
「ガルルル!」
よし、間合いに入ったな!
俺は地面すれすれのところで、逆袈裟にアスカロンを振るう!!
「散・魔刃剣!!」
俺の放った剣技はいつもより細く、威力も低いが広範囲に広がる!
普段が2メートルくらいだが、この技は5メートル以上になる!
「ゲヒィ!?」
「バヘェ!?」
並んで迫ってきていた五匹を、一刀のもとに始末する。
「フゥ……相変わらず、調整がむずかしいな。もう少し、魔力を減らしても良かったか」
「す、すごい!!一発で全部倒しちゃった!!」
「まあ、あのくらいならな。
この技は一対多数の時に使う技なのだが、威力調整が難しい。下手をすると、味方を巻き込んでしまうからな。俺も、まだまだ修行をしなくては」
味方か……そういえば、アイツらは元気でやっているだろうか?俺の都合に付き合わせてしまったからな……。
皆、無事でいるといいのだが……。
「これは、どういうことですか?」
「えっと……」
「私が説明しましょう」
「ギルドマスター!」
ほう?ギルドマスター自らが説明か……。
そこにはシュッとした体型で、平凡な容姿をもつ、30代くらいの男がいた。
「そちらのお嬢さんと、こちらへきて頂けますか?」
「……わかりました」
「ク、クロウ…どうしたの?」
「安心していい。嫌な感じはしない」
これは狙った以上の効果が現れたのかもしれん。手っ取り早く、足場作りができるかもな。
「クロウがいうなら安心ね!」
そのままついていき、奥の個室に通される。
「まずは、感謝を。無償で、この都市を守る手助けをしてくださったとか」
「いえ、人として当然のことをしたまでです。これからお世話になる都市ですから。
それに、お礼はとある人から頂きましたし」
「ふむ……この国は割と寛容です。他国からの流れ者や、追放された者達もいます。なので、貴方達の素性は問いません。
ただ、犯罪を犯せば普通に処罰はされるので、ご注意を。
この都市では、国を守るために強き者を求めています。貴方が活躍してくれるなら、多少のことには目を瞑りますし、貴方達が一方的に悪いわけではないなら問題にはいたしません」
やはり……ここに来て正解だった。噂には聞いていたが、そういう土地柄か。
俺の力では、どうせ目立つのは避けられないからな。だったら、最初から力を見せた方がいい。
「わかりました、助かります。それで5級なのは、ゼトさんのおかげですか」
「……ふむ……強い上に、頭の回転も悪くないようですね。
ええ、貴方のことはゼトから聞いています。とんでもないルーキーが現れたと」
「それで、5級なのですか?」
「ええ、5級からでないと、魔の森の中には入れませんから。駆け落ちには金がいるだろうと、ゼトは言っていましたね」
「か、駆け落ち……!アレ?でも、でも、結果的に……?」
「いやはや、可愛らしい恋人でいいですね」
「ええ、とても可愛いです。
なるほど、そういう決まりがあるのですか。では、お礼をしなくてはいけませんね」
隣ではなぜか、カグヤがアワアワしている。
「それに関しては気にしなくてよいかと。ゼトからの伝言です。都市を守る手伝いをしてくれたらチャラだ、と伝えておけと」
「それなら問題ありません。しばらくお世話になる都市ですから」
「それでは、これからよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
その後受付に戻り、カグヤのギルドカードももらい、簡単に説明を聞いて、依頼が貼ってある掲示板を眺める。
とりあえず、10級の欄を見てみる。
「薬草採取、荷物の整理や運搬、都市の清掃、ゴブリン退治……。
私にもできることはあるかしら?清掃とか、採取とか?」
「そうだな、採取がいいんじゃないか?それなら、俺の依頼のついでに採れるだろう」
「あっ!そうね!クロウの討伐依頼の時に、採取すればいいのね!
……でも、それってズルくはないかしら?」
「そんなことはないさ。パーティーで協力するようなものだ。
……それに、2人で協力して生活するんだろう?」
「クロウ……うん!私は、私にできることをするわ!
その……た、頼りにしてるわよ……?」
「ああ、任せろ。カグヤに頼られることは、俺にとって至上の喜びだ」
「もう!大袈裟よ!」
その後、お試しで8級の討伐依頼書と、10級の採取依頼書を受付に持っていく。
「はい、受注いたしました。1週間以上経つと、自動的に失敗となりますのでご注意ください。
三回失敗すると、降格。10級の場合は、剥奪となりますのでご注意を」
「なるほど、わかりやすいシステムだな。10級を何回も失敗するようなら、そもそも向いていないものな」
「ええ、おっしゃる通りです。では、お気をつけて」
「ありがとう。カグヤ、行こうか」
「うー……緊張してきたわ。……でも、少しワクワクもしてるかも……?」
「……実は、俺もだ。少し、昔を思い出すからかもな」
「そうなの!よくクロウと冒険したわよね!それで、エリゼに叱られるの!」
「いや!カグヤは叱られてないから!叱られ……殺されかけたの俺だけだから!」
「あれー?そうだったかしら?」
そして、俺たちは都市を出て魔の森付近に到着する。
「あっ!あったわ!この薬草よ!あの頃、勉強していたからわかるわ!」
「ほらな?無駄なことなんかないだろう?」
「クロウ……うん!ありがとう!」
「おうよ。さて……俺はレッサーウルフが五匹か」
ドック系の下位の魔物だ。五匹ほどで群れを作り、新人冒険者の死亡率が高いらしい。
理由は簡単だ。四足歩行系の魔物は、下位でも少しは頭が回る。連携を取るので、調子に乗った新人がやられるということだ。
「あっ!クロウ!」
「来たか……だが、所詮は下位。敵との力量差はわからんか」
俺は魔物討伐の経験は少ない。特に、四足歩行系はこの辺りにしかいないので、初めての経験だ。
俺はカグヤの前に立ち、アスカロンを下段に構える。
「ク、クロウ!?ち、近づいてくるわ!?」
「安心しろ。さて……数が多いヤツには、これでいくか……」
「ガウッ!!」
「ガルルル!」
よし、間合いに入ったな!
俺は地面すれすれのところで、逆袈裟にアスカロンを振るう!!
「散・魔刃剣!!」
俺の放った剣技はいつもより細く、威力も低いが広範囲に広がる!
普段が2メートルくらいだが、この技は5メートル以上になる!
「ゲヒィ!?」
「バヘェ!?」
並んで迫ってきていた五匹を、一刀のもとに始末する。
「フゥ……相変わらず、調整がむずかしいな。もう少し、魔力を減らしても良かったか」
「す、すごい!!一発で全部倒しちゃった!!」
「まあ、あのくらいならな。
この技は一対多数の時に使う技なのだが、威力調整が難しい。下手をすると、味方を巻き込んでしまうからな。俺も、まだまだ修行をしなくては」
味方か……そういえば、アイツらは元気でやっているだろうか?俺の都合に付き合わせてしまったからな……。
皆、無事でいるといいのだが……。