朝食を食べ終えた俺は、宿の入り口近くにある共有スペースで紅茶を飲んでいる。
『お風呂に入ってくるからそこにいて!言っておくけれど、クロウがいるのが嫌だからじゃないからね!ただ、恥ずかしいだけなんだから!』
と言われてしまったからだ。女性には風呂上がりにも支度があるらしい。
ふむ……女心とは、よくわからん。だが、好都合でもある。
俺もシャワーの音とか聞こえたら、ドキドキしてしまう。湯上がり姿とか、冷静でいられるかわからない……。
それに……これからのことを、考えなくてはならない。
まずは、追っ手が来るかどうか。そして、来るとしたらいつ頃か?少なくとも、1週間くらいは平気だろう。その間に、体制を整えたいところだな。
「……そのためには、まずは金がいるな」
「クロウ?おまたせ」
「おう、カグヤ……うん、可愛いな」
「にゃ、にゃ、にゃによ!いきなり!!」
俺は、カグヤを下から上まで眺めてみる。普通の女の子が着るような、赤のワンピースを着ていた。いつも下ろしている紅髪を、ポニーテールにしている。
……うん、こういう格好も似合うな。
「いや、それどうしたんだ?」
「エリゼが持たせてくれたわ!その方が溶け込めるって」
「なるほど。俺が買おうと思っていたが、必要なかったか。感謝しなくてはな」
「あと、クロウにもあるわよ?ほら、いくわよ!」
「はいはい、わかったよ」
俺は、フリフリと揺れるポニーテールを眺めながら歩くのだが……。
やべぇ……!超絶可愛いじゃないか!!俺がポニーテール好きって知ってのことか!?
……まさかな、そんなことはないな。
「さあ!これよ!」
そこには青を基調とする、騎士服のようなものがあった。
「これは……相当良いものだな……エリゼさんが、これを俺に?」
「ええ、そうよ。エリゼが持っていた秘蔵コレクションらしいわ。
その効果は丈夫で破れにくいこと。自動修復されること。そのマントは、ドラゴンのブレスさえ軽減できるそうよ。
エリゼが『照れ臭いので、お嬢様からお渡しください』って。あと……その……」
「いや、わかった。これをやるから、カグヤをきちんと守れということだな?」
「う、うん。それと……『お嬢様に無理強いしたら殺す』って……」
「ん?どういう意味だ?俺が、そんなことをするわけがないだろうに」
「そ、そうよね!クロウは待っていてくれるわよね!」
「……よくわからんが、待つとも」
相変わらず、女心はよくわからん……。
戦場にばかりいたからな……これから、学んでいくとしよう。
早速、着替えてみる。
「うん!よく似合っているわ!か、格好良いわ!」
「そうか、ありがとう。うむ……伸縮性にも優れているか。これなら、無茶な動きも可能だな」
「それで……これから、どうするの?」
「とりあえず、冒険者登録というものをしてみる。稼がないことには始まらん」
「わ、私にもできるかしら……?」
「カグヤを危険な目に合わせたくないから、登録はしなくても……」
「でも、そうしたら私、一人で待つの……?私を置いていっちゃうの……?
ご、ごめんなさい!でも、でも……1人でいるのは不安なの。
……そ、側にいて……」
ゴハッ!!何というセリフを……!
上目遣いは反則だろうーー!!
「ク、クロウ……?やっぱり、迷惑……」
「いや!そんなことはない!そういう意味でなくてだな……。
心配だから側にいるに決まっている。ただ、冒険者登録はしなくてもいいかなということだ」
「私だって役に立ちたいわ!……そ、それに、クロウがいれば、何があっても平気だもの……。
わ、私を守ってくれるのでしょう?」
何ということだ……、こんなに信頼してくれているとは。裏切るわけにはいかない……!!
今まで以上に、強くならなくては……!!
「わかった、安心してくれ。何があろうと、必ず守ってみせる」
「クロウ……うん!」
そうしてカグヤを連れ、街並みを歩く。
「わぁー!凄いわ!人がいっぱいね!」
「ん?王都では、どうしていたんだ?」
「んー……お稽古事とかお勉強とか、魔法の修行ばかりであまり出歩けなかったわ。一応皇太子妃候補だったから、外へ出してももらえなかったしね。
それに友達もいないし、皇太子もアレだったから……」
「そうか……わかった。だが今は俺がいる。カグヤの行きたいところなら、何処へでもお供しよう」
「クロウ……ありがとう、何も言わないでいてくれて。
そうね!クロウとなら、どこでも楽しいわ!」
俺はその笑顔を見るだけで、心が温かい気持ちになる。
そうだ……俺は、これが見たかったんだな。
「ここが、冒険者ギルドか」
「ど、ドキドキするわね」
外見は普通の平屋の建物のようだ。とりあえず、中に入ってみる。
「さて……ほう?意外と綺麗だな」
「そ、そうね。酒場みたいなものをイメージしてたわ」
「いや、あの国ならそれで合っている。
この国の冒険者活動が盛んな理由の一つかもな」
中は割と広く、清潔感のある空間になっている。テーブルと椅子がいくつか置いてあり、人々が談笑している。騒がしくはあるが、下品な感じではない。
「やっぱり、人と戦うより魔物と戦うことが多いからかしら?」
「まあ、それもあるだろうな……さて、受付は……あれか」
受付に向かい、女性に声をかける。
「すみません、少しよろしいでしょうか?」
「え?は、はい、なんでしょうか?」
ん?何かおかしなことを言ったか?
「最近この都市に来まして、冒険者登録をしたいのですが……」
「あ!もしかして、その出で立ち……。
申し訳ございません!少々お待ち頂けますか!?」
「え、ええ、構いません。待ちます」
「何かしら?」
「わからん」
「あら?この紙になにか書いてあるわね」
暇なので2人で見る。なるほど……こういう感じか。
上から順に、1級から10級までランクがある。
特例として、最上級の特級がある。
10〜7級が下位。
6〜4級が中位。
3〜1級が上位。
依頼をこなしたり、指定の魔物を倒すとランクが上がるようだ。
「お、お待たせいたしました!こちらが貴方の冒険者カードです!」
「あっ、どうもありがとうございます。あれ?」
「クロウ……10級じゃないわね?」
そこには、5級という文字がある。
一体、どういうことだ?
『お風呂に入ってくるからそこにいて!言っておくけれど、クロウがいるのが嫌だからじゃないからね!ただ、恥ずかしいだけなんだから!』
と言われてしまったからだ。女性には風呂上がりにも支度があるらしい。
ふむ……女心とは、よくわからん。だが、好都合でもある。
俺もシャワーの音とか聞こえたら、ドキドキしてしまう。湯上がり姿とか、冷静でいられるかわからない……。
それに……これからのことを、考えなくてはならない。
まずは、追っ手が来るかどうか。そして、来るとしたらいつ頃か?少なくとも、1週間くらいは平気だろう。その間に、体制を整えたいところだな。
「……そのためには、まずは金がいるな」
「クロウ?おまたせ」
「おう、カグヤ……うん、可愛いな」
「にゃ、にゃ、にゃによ!いきなり!!」
俺は、カグヤを下から上まで眺めてみる。普通の女の子が着るような、赤のワンピースを着ていた。いつも下ろしている紅髪を、ポニーテールにしている。
……うん、こういう格好も似合うな。
「いや、それどうしたんだ?」
「エリゼが持たせてくれたわ!その方が溶け込めるって」
「なるほど。俺が買おうと思っていたが、必要なかったか。感謝しなくてはな」
「あと、クロウにもあるわよ?ほら、いくわよ!」
「はいはい、わかったよ」
俺は、フリフリと揺れるポニーテールを眺めながら歩くのだが……。
やべぇ……!超絶可愛いじゃないか!!俺がポニーテール好きって知ってのことか!?
……まさかな、そんなことはないな。
「さあ!これよ!」
そこには青を基調とする、騎士服のようなものがあった。
「これは……相当良いものだな……エリゼさんが、これを俺に?」
「ええ、そうよ。エリゼが持っていた秘蔵コレクションらしいわ。
その効果は丈夫で破れにくいこと。自動修復されること。そのマントは、ドラゴンのブレスさえ軽減できるそうよ。
エリゼが『照れ臭いので、お嬢様からお渡しください』って。あと……その……」
「いや、わかった。これをやるから、カグヤをきちんと守れということだな?」
「う、うん。それと……『お嬢様に無理強いしたら殺す』って……」
「ん?どういう意味だ?俺が、そんなことをするわけがないだろうに」
「そ、そうよね!クロウは待っていてくれるわよね!」
「……よくわからんが、待つとも」
相変わらず、女心はよくわからん……。
戦場にばかりいたからな……これから、学んでいくとしよう。
早速、着替えてみる。
「うん!よく似合っているわ!か、格好良いわ!」
「そうか、ありがとう。うむ……伸縮性にも優れているか。これなら、無茶な動きも可能だな」
「それで……これから、どうするの?」
「とりあえず、冒険者登録というものをしてみる。稼がないことには始まらん」
「わ、私にもできるかしら……?」
「カグヤを危険な目に合わせたくないから、登録はしなくても……」
「でも、そうしたら私、一人で待つの……?私を置いていっちゃうの……?
ご、ごめんなさい!でも、でも……1人でいるのは不安なの。
……そ、側にいて……」
ゴハッ!!何というセリフを……!
上目遣いは反則だろうーー!!
「ク、クロウ……?やっぱり、迷惑……」
「いや!そんなことはない!そういう意味でなくてだな……。
心配だから側にいるに決まっている。ただ、冒険者登録はしなくてもいいかなということだ」
「私だって役に立ちたいわ!……そ、それに、クロウがいれば、何があっても平気だもの……。
わ、私を守ってくれるのでしょう?」
何ということだ……、こんなに信頼してくれているとは。裏切るわけにはいかない……!!
今まで以上に、強くならなくては……!!
「わかった、安心してくれ。何があろうと、必ず守ってみせる」
「クロウ……うん!」
そうしてカグヤを連れ、街並みを歩く。
「わぁー!凄いわ!人がいっぱいね!」
「ん?王都では、どうしていたんだ?」
「んー……お稽古事とかお勉強とか、魔法の修行ばかりであまり出歩けなかったわ。一応皇太子妃候補だったから、外へ出してももらえなかったしね。
それに友達もいないし、皇太子もアレだったから……」
「そうか……わかった。だが今は俺がいる。カグヤの行きたいところなら、何処へでもお供しよう」
「クロウ……ありがとう、何も言わないでいてくれて。
そうね!クロウとなら、どこでも楽しいわ!」
俺はその笑顔を見るだけで、心が温かい気持ちになる。
そうだ……俺は、これが見たかったんだな。
「ここが、冒険者ギルドか」
「ど、ドキドキするわね」
外見は普通の平屋の建物のようだ。とりあえず、中に入ってみる。
「さて……ほう?意外と綺麗だな」
「そ、そうね。酒場みたいなものをイメージしてたわ」
「いや、あの国ならそれで合っている。
この国の冒険者活動が盛んな理由の一つかもな」
中は割と広く、清潔感のある空間になっている。テーブルと椅子がいくつか置いてあり、人々が談笑している。騒がしくはあるが、下品な感じではない。
「やっぱり、人と戦うより魔物と戦うことが多いからかしら?」
「まあ、それもあるだろうな……さて、受付は……あれか」
受付に向かい、女性に声をかける。
「すみません、少しよろしいでしょうか?」
「え?は、はい、なんでしょうか?」
ん?何かおかしなことを言ったか?
「最近この都市に来まして、冒険者登録をしたいのですが……」
「あ!もしかして、その出で立ち……。
申し訳ございません!少々お待ち頂けますか!?」
「え、ええ、構いません。待ちます」
「何かしら?」
「わからん」
「あら?この紙になにか書いてあるわね」
暇なので2人で見る。なるほど……こういう感じか。
上から順に、1級から10級までランクがある。
特例として、最上級の特級がある。
10〜7級が下位。
6〜4級が中位。
3〜1級が上位。
依頼をこなしたり、指定の魔物を倒すとランクが上がるようだ。
「お、お待たせいたしました!こちらが貴方の冒険者カードです!」
「あっ、どうもありがとうございます。あれ?」
「クロウ……10級じゃないわね?」
そこには、5級という文字がある。
一体、どういうことだ?