……これは、夢か……?
小さい俺と、母上が見える……それにアイツらも!
「さあ!何処へでも行くがいい!まあ、お前達に行くところなど、ありはしないだろうがな!」
「早く出てお行き!ああスッキリしたわ!
どうして私がコソコソとしなくてはいけないの!?私は子爵家の娘よ!男爵家の娘とその子供なぞ、伯爵家には相応しくないわ!」
「こいつら……!!」
「クロウ!おやめなさい!
今までお世話になりました。失礼いたします」
「母上!?何故ですか!?こちらは悪いことなど何もしていないのに……!!」
「いいのよ、クロウ。私には、貴方がいるわ。それだけで、十分だもの……」
これは、あの時の……やめろ!!続きを見せるな!!
「母さん!!」
「クロウ、ごめんなさいね……貴方を置いていって……」
「なんでだ!?なんで母さんが!?
母さんは、アイツに散々尽くしてきたじゃないか!アイツの借金だって、母さんの私財を売って返した!そのせいで、母さんはお洒落やお化粧もできなかった!」
「クロウ……私も悪かったのよ、あの人に口出しをしてしまったから……。
善かれと思ってやったのだけれど、プライドを傷つけてしまっていたのね……」
「母さんは何も悪くない!至極真っ当な意見ばかりだ!
ギャンブルはするな、借金は作るな、横柄な態度をとるな……どれも、当然のことじゃないか!」
「クロウ、貴方は真っ直ぐに育ってくれた……。
ああ、私は……貴方がいてくれて、幸せだったわ……。復讐など、考えてはなりませんよ?幸せに、生きて……。
クロウ、私の子供に生まれてきてくれて、ありが……とう……」
「母さん!母さーーん!!」
……ねえ……ねえって……ねえったら!!
「クロウ!!」
「ん……?カグヤか……どうした?」
「どうしたって……泣いているから……うなされていたし……私、心配で……」
「ああ、いや……なんでもないんだ」
久々に嫌な夢を見た……あの日のことを……クソ!!
「ク、クロウ!!」
「ど、どうしーーー!?」
俺の頭が、カグヤの柔らかな胸に当てられている!俺は、カグヤに抱きしめられている!?
「な、な、なんだ!?ど、どうした!?」
「じ、じっとしていなさい!わ、私だって恥ずかしいのだから!」
「いや!だから!」
「私は、クロウの何!?」
「な、何って……大事な女の子だ」
「私だってクロウが大事よ!だから、その……私を頼ってくれても良いのよ!何か辛いことがあったなら癒してあげたいの!
その、私なんかで役に立てるかは、わからないけれど……」
「カグヤ……いや、なんでもない……違うか。ありがとう。
……話を、聞いてくれるか?」
「うん!」
「と、とりあえず、離してくれると助かる……」
色々な意味で……。
「あっ!きゃっ!ご、ごめんなさい!」
「い、いや、こちらこそ」
「そ、それで!何があったの?」
「いや、実は……」
久々に母さんの夢を見たことを話した。
「……そう、カエラ様のことを……。優しくて、しっかりしていらして、良いお母様だったわね。……母親のいない私を、本当の娘のように可愛がってくださったたわ」
「母さんは、カグヤを娘にしたがっていたからなぁ……」
「え?あ、え、そうなのね!……クロウはお父様を恨んでいるの?」
「そうだな……殺してやりたいくらいには。
だが、母さんの最期の言葉があったから、踏みとどまった。
もちろん、次に会ったら殺さない自信はないがな。あと……」
「……私のため……?お父様を殺したら、国にはいられないものね……。
癒すもなにも、私にも責任があるわ……。ごめんなさい……!」
「それは違う!カグヤは悪くない!俺が決めたことだ!そ、それに……」
「クロウ……?」
「カグヤは、母さんを亡くした俺を癒してくれた。
……もし、あの時カグヤがいなければ……俺は壊れていただろう。そしてカグヤがいたから、俺は今日まで生きてこられたんだ」
「わ、私だって!クロウが頑張っているって聞いたから、王都でひとりきりでも頑張れたもの!」
「カグヤ……」
「クロウ、私には大したことできないわ。それでも、貴方の力になりたいの。
貴方ばかりに負担をかけたくないもの。もちろん、クロウも男の人だから言い辛いと思うけど……。それでも……私にだけは、弱音をはいて」
「……格好悪くないかな?」
か
「そんなことないわ!クロウはカッコいいもの!」
「そうか……ありがとう、カグヤ。そうだな、これから2人だもんな。力を貸してくれるか?」
「うん!それに、色々話を聞かせて!私も話すから!だって6年も会っていなかったのよ?楽しい話じゃないけど……それも含めて知りたいの!」
「それもそうだな……ここまでは、そんな余裕もなかったしな。
ああ、わかった。ゆっくりだが、話していこうか」
「うん!そうと決まれば行くわよ!お腹が空いたわ!」
「おいおい、俺は顔も洗っていないぞ?」
「わ、私だって、お風呂に入ってないわ!」
「そういや、そうだったな。良いのか?」
「良いの!後で!今入ったら、なんだかアレじゃない……!」
「アレ?」
「いいから!行くわよ!」
「お、おう」
何故だかはわからないが、頬を赤らめたカグヤに引っ張られて、俺は部屋を出るのだった。
小さい俺と、母上が見える……それにアイツらも!
「さあ!何処へでも行くがいい!まあ、お前達に行くところなど、ありはしないだろうがな!」
「早く出てお行き!ああスッキリしたわ!
どうして私がコソコソとしなくてはいけないの!?私は子爵家の娘よ!男爵家の娘とその子供なぞ、伯爵家には相応しくないわ!」
「こいつら……!!」
「クロウ!おやめなさい!
今までお世話になりました。失礼いたします」
「母上!?何故ですか!?こちらは悪いことなど何もしていないのに……!!」
「いいのよ、クロウ。私には、貴方がいるわ。それだけで、十分だもの……」
これは、あの時の……やめろ!!続きを見せるな!!
「母さん!!」
「クロウ、ごめんなさいね……貴方を置いていって……」
「なんでだ!?なんで母さんが!?
母さんは、アイツに散々尽くしてきたじゃないか!アイツの借金だって、母さんの私財を売って返した!そのせいで、母さんはお洒落やお化粧もできなかった!」
「クロウ……私も悪かったのよ、あの人に口出しをしてしまったから……。
善かれと思ってやったのだけれど、プライドを傷つけてしまっていたのね……」
「母さんは何も悪くない!至極真っ当な意見ばかりだ!
ギャンブルはするな、借金は作るな、横柄な態度をとるな……どれも、当然のことじゃないか!」
「クロウ、貴方は真っ直ぐに育ってくれた……。
ああ、私は……貴方がいてくれて、幸せだったわ……。復讐など、考えてはなりませんよ?幸せに、生きて……。
クロウ、私の子供に生まれてきてくれて、ありが……とう……」
「母さん!母さーーん!!」
……ねえ……ねえって……ねえったら!!
「クロウ!!」
「ん……?カグヤか……どうした?」
「どうしたって……泣いているから……うなされていたし……私、心配で……」
「ああ、いや……なんでもないんだ」
久々に嫌な夢を見た……あの日のことを……クソ!!
「ク、クロウ!!」
「ど、どうしーーー!?」
俺の頭が、カグヤの柔らかな胸に当てられている!俺は、カグヤに抱きしめられている!?
「な、な、なんだ!?ど、どうした!?」
「じ、じっとしていなさい!わ、私だって恥ずかしいのだから!」
「いや!だから!」
「私は、クロウの何!?」
「な、何って……大事な女の子だ」
「私だってクロウが大事よ!だから、その……私を頼ってくれても良いのよ!何か辛いことがあったなら癒してあげたいの!
その、私なんかで役に立てるかは、わからないけれど……」
「カグヤ……いや、なんでもない……違うか。ありがとう。
……話を、聞いてくれるか?」
「うん!」
「と、とりあえず、離してくれると助かる……」
色々な意味で……。
「あっ!きゃっ!ご、ごめんなさい!」
「い、いや、こちらこそ」
「そ、それで!何があったの?」
「いや、実は……」
久々に母さんの夢を見たことを話した。
「……そう、カエラ様のことを……。優しくて、しっかりしていらして、良いお母様だったわね。……母親のいない私を、本当の娘のように可愛がってくださったたわ」
「母さんは、カグヤを娘にしたがっていたからなぁ……」
「え?あ、え、そうなのね!……クロウはお父様を恨んでいるの?」
「そうだな……殺してやりたいくらいには。
だが、母さんの最期の言葉があったから、踏みとどまった。
もちろん、次に会ったら殺さない自信はないがな。あと……」
「……私のため……?お父様を殺したら、国にはいられないものね……。
癒すもなにも、私にも責任があるわ……。ごめんなさい……!」
「それは違う!カグヤは悪くない!俺が決めたことだ!そ、それに……」
「クロウ……?」
「カグヤは、母さんを亡くした俺を癒してくれた。
……もし、あの時カグヤがいなければ……俺は壊れていただろう。そしてカグヤがいたから、俺は今日まで生きてこられたんだ」
「わ、私だって!クロウが頑張っているって聞いたから、王都でひとりきりでも頑張れたもの!」
「カグヤ……」
「クロウ、私には大したことできないわ。それでも、貴方の力になりたいの。
貴方ばかりに負担をかけたくないもの。もちろん、クロウも男の人だから言い辛いと思うけど……。それでも……私にだけは、弱音をはいて」
「……格好悪くないかな?」
か
「そんなことないわ!クロウはカッコいいもの!」
「そうか……ありがとう、カグヤ。そうだな、これから2人だもんな。力を貸してくれるか?」
「うん!それに、色々話を聞かせて!私も話すから!だって6年も会っていなかったのよ?楽しい話じゃないけど……それも含めて知りたいの!」
「それもそうだな……ここまでは、そんな余裕もなかったしな。
ああ、わかった。ゆっくりだが、話していこうか」
「うん!そうと決まれば行くわよ!お腹が空いたわ!」
「おいおい、俺は顔も洗っていないぞ?」
「わ、私だって、お風呂に入ってないわ!」
「そういや、そうだったな。良いのか?」
「良いの!後で!今入ったら、なんだかアレじゃない……!」
「アレ?」
「いいから!行くわよ!」
「お、おう」
何故だかはわからないが、頬を赤らめたカグヤに引っ張られて、俺は部屋を出るのだった。