さて、無事に再会でき、ひとしきり喜んだ後、今後の話をすることになった。

「ヨゼフ様、今後はどのように動きますか?帝国軍を滅ぼせというのなら、俺はいつでも良いですよ。正直言って、俺はこの国に未練はありません。
 愛するカグヤを殺そうする国など、滅ぼしたいくらいだ。流石に、民にまで死ねとは言いませんが……」

 愛する母上は、もういない。
 あの男は、むしろ殺してやりたいくらいだ。
 あの女も……子供には、流石にそこまでは思わないがな。
 大事な部下も、もう国を出た。
 そうなると、俺は本当に未練がないな。

「ムカつきますが、クロウに賛成ですね。アイツらは、万死に値する。あとで悔いればいい。我々がいたから、平和を享受できていたことを」

「2人とも……わ、私は……」

「お主達の気持ちはわかる……だが、そうもいかん。そうなると、全面戦争になる。無辜の民が犠牲になってしまう。この辺境伯領も無事では済まないだろう。
 だが、許せないのも事実だ。ただ、現皇帝の考えがよくわからない。あやつは腐ってはおるが、そこまで愚かではなかったはず……。だからワシも、カグヤを泣く泣く送り出したのだ」

「そうなのですか?俺はよく知らないのですが……カグヤは会ったことがあるのか?」

「ええ、何度か。ただ、その……舐め回すように見られいてる気がして……」

「まあ、現皇帝は大の女好きでな……」

「はい決定!滅ぼします!!」

「よく言ったクロウ!私と今のお前なら殺れる!!」

「やめんか全く!昔から変わらんな!カグヤのこととなると、見境いがなくなる……まあ、ワシもじゃが」

「2人とも、私は大丈夫よ。ショックだったけれど……皆がいるもの!」

「カグヤ!!ああ!俺が側にいる!!」

「おい!私の台詞をとるな!!」

「というわけで、ひとまずは様子見じゃ。もちろん、何が起きても良いように準備はしておくがな」

「私もそれで良いわ。流石に民が犠牲になるのは心が痛むもの。もちろん悔しいし、恨む気持ちはあるけれど……。今は、少し休みたい……」

 俺は馬鹿か!そうだ、カグヤは今まで頑張ってきた。
 少し、休ませてあげなくては……

「カグヤ、すまん!自分の気持ちを押し付けてしまうところだった」

「お嬢様……申し訳ありません。お嬢様のお気持ちを無視し、自分の感情を優先しようとしてしまいました」

「ううん、いいの。2人とも私のことを大事に思ってくれていることは、わかっているから……」

「さて、まとまったようじゃな。でだ、クロウ」

「はい、なんでしょうか?」

「お主はカグヤを連れて、マルグリット王国へ行ってもらいたい」