さて、ひとまず帝国軍を追い返した俺は、久々の辺境伯邸に案内される。

そして、ヨゼフ様の私室にて、詳しく話を聞くことにした。

対面にヨゼフ様、隣にはカグヤがいる。

「さて……一体、何がどうなっているのですか?」

「そうじゃな……ワシも詳しいことは知らんが……順序を追っていくか」

「まず、カグヤが死刑になるという通知は?」

「来たぞ……直前にな。怒りでどうにかなりそうだったな。こちらには、噂などが届かないようにしておったのだろう。おそらく、宰相でもある侯爵家の陰謀じゃろうな」

「とりあえず冤罪ですもんね。なるほど……だからあの不細工な女は、侯爵家の娘ということですか」

「そういうことじゃろうな。我が辺境伯家が力を持つことを恐れたのじゃろう」

「そしてカグヤを排除して、自分の娘を皇太子にと……権力にしがみつくクズめ……!」

もし、出会ったなら殺す……!!
元は、そいつが原因ではないか……!!

「クロウ……私のために……ありがとう……」

「ワシからも、質問じゃ。どうやって知り、どうやってここまで?」

「兵士の間に噂が流れて来まして……それを聞き、すぐに国境を越え」

「待て!そのためには、上級兵や将クラスがいる場所を通らなくては……」

「ええ、通りました。片っ端から殺していきました。奴らのせいで、俺の部下がどれだけ死んだか……!ついでに、辺境伯も殺しましたよ」

「なんと!!やはり、あちらの方は酷いようじゃな。そしてさっきの強さなら、突破も可能か。あのクソ豚なら死んで当然じゃ。同じ辺境伯として、あんなのと一緒だと思うと恥ずかしいわ!」

「ええ、その通りかと。その後は、馬をひたすら走らせ、帝都へ行き、処刑台にいるカグヤを救い出しました。そして、ここまで連れて来ました」

「そうか、ギリギリだったのだな……。改めて感謝する……!!」

「クロウは、そんな苦労してまで……ごめんなさい……!」

「謝ることはないさ。俺は、俺のためにやっただけだ。愛するカグヤを守るという、俺の意思によってな。さっきも言ったが、カグヤが気に病むことはない。大切なカグヤを助けられるなら、あれくらい苦労のうちに入らん」

「あ、あうぅ……そ、そうよね!わ、私気にしないわ!」

「ああ、それでいい。カグヤは、そうやって元気なのが良い。俺は、それが一番好きだ」

「はぇ?……もう!バカ!!」

「なんで叩くんだよ!?」

「うむ……まあ、お主なら問題ないか。カグヤを安心して任せられるか……少し、複雑ではあるが……」

「ええ、お任せを。必ずや、カグヤを守り抜いてみせましよう。どんな理不尽なことからも。俺は、そのためだけに強くなったのです」

「……フンだ!もう、好きにして!」

「ん?ああ、そうするが……」

「やれやれ、何年経っても関係は変わらないようじゃな。これは、苦労しそうじゃな。クロウだけに……」

「…………」

「…………」

「…………ワシが悪かった、だからそんな可哀想なモノを見る目をせんでくれ」

「もう!お父様ったら!」

「ヨゼフ様こそ、相変わらずですね。ところで、肝心なことを聞いていないのですが……」

「ああ、わかっておる。長兄アランと……」

その時、扉を勢いよく開けて、誰かが入ってきた。

物凄い速さで、俺に迫ってくる!!

そして、短剣を突き出してくる!!

「お嬢様から離れろ!!曲者め!!」

俺は腕に魔力を込め、迎撃する!!

「ちげーよ!!アンタも相変わらずだな!」

魔力のこもった拳と、魔力のこもった短剣が衝突する!!

バリバリバリッ!!衝突音が鳴り響く!!

「なに!?私の攻撃を防ぐとは!?それにその顔、その声……髪色が違いますが……まさか、クロウ!?」

「そうだよ!ていうか、いきなり何すんだよ!俺じゃなかったら死んでるぞ!?」

「チッ!お嬢様に近づく者は死ねば良い!」

この俺を襲ってきた女性は、メイド長のエリゼという。

通り名は、《《冥土のエリゼ》》だ。