「あの黒い煙......目無しの魔獣のヤツとそっくりだな」

「アレは煙じゃねぇ。闇だ。あのバカラとか言う魔人、“闇の欠片”を取り込みやがった!」

「闇の欠片? なんだよそれ」

「この世界の創造主である闇の欠片なの!」

「そのまんますぎて分かんねーよ!! もっと分かりやすく教えてくれ!」

「細かい事はどーだって良いのよ! 今度は私がぶん殴る!」

「待て突っ走るな!! えーと名前なんて言ったっけ......そうホノラ!! 絶対闇に触れるな!」

「ホウ......そこのデカい鬼の方はワタシの闇の恐ろしさが分かっているヨウだな......」

「――だがワタシを恐れるだけでハもう遅イ! ワタシは闇の力を我が物にして最強になっタ!!(※個人の感想です)もうこの世にワタシを止められる者ハ存在しない!!(※個人の感想です)」

 なんだろう......闇バカラのセリフの後に(※個人の感想です)って見えるのは気の所為だろうか?

「誰ダ!? ワタシのセリフの後に(※個人の感想です)と入れているのハ!?」

 気の所為じゃないとなると、こんなふざけた事が出来るのは一人しかいない!

「じゃじゃーん! 僕でーす!!」

「兄ちゃん! 俺もいるぞ!」

「ハッ!!!! 俺もだ!!!!」

「マツルさーん、ホノラさーん、大丈夫ですかー?」

 遅れてロージー達の到着だ!

「どうする闇バカラ、こっちは一気に戦力大増強で超有利だぜ?」

「マサカ、頭数を揃えたからワタシに勝てルと思っているのカ? ナラ、それは間違イというモノダ【闇魔法 闇放射(ダーク・ラジエート)】」

「闇の散弾!?」

「ッッ!? 全員避けろぉぉぉぉ!!!! もう一度言う! 絶対に当たるんじゃないぞぉぉぉぉ!!」

 闇バカラの周りに出現した無数の闇の球が俺達に降り注ぐ。

 着弾した部分の地面はジュワジュワと音を立てて蒸発していた。

 危なかった。クーガの呼び掛けがなかったら誰か一発は食らっていたかもしれない。

 ナマコ神様、闇魔法ってなんだ?

『闇魔法って言うのはね、文字通り闇を扱う魔法で、闇の力を取り込んだ闇の眷属にしか使えないんだ。コントロールが難しい分超強力で、当たったら死ぬ』

 死ぬ!?!? なんだよそれ強過ぎだろチートじゃんチート!!

『ごめん、死ぬは言い過ぎた。死んだ方がマシになる位の激痛が全身を止めどなく襲い続けるよ』

 どっちもほぼ変わんねぇ......

 とりあえず誰も死んでないみたいで安心安心! あとは触れなくても遠距離からバカスカ撃てる魔法使いの皆さんに任せて――

「今度は私の番ね!! やっぱり我慢出来なかったパーンチ!!」

 いつの間に接近してんだホノラぁッ!? 思いっきり顔面殴ってるし! ガッツリ闇に触ってるし!? 

「グァッ......!! ワタシに一発入れた事ハ褒めてやるガ、ただの人間ガ闇に触れれバ残された道ハ死のみ!!」

「このモヤモヤ、触ってもなんともないじゃない」

 ええええええええええええ!? なんでぇ!?!?!?

「信じられねぇ......あの子、闇に触れてやがる......」

「なァギルマスよ......俺ァ初めて闇魔法なんて見たがよ、これは嬢ちゃんがおかしいんだよな?」

「これはホノラ君がおかしいね......普通、少し触っただけで死に至る代物なのに......」

 皆が口々に驚きの感想を示している。

 そしてその間にも、闇バカラはまたしてもホノラにボッコボコに殴られ続け、心が完全に折れかかっていたのだった。