「じゃあ俺から行くぞォ!! 一撃で終わったりしないでくれよぉぉぉ!!!!」
先に動いたのは鬼の男だった。
その長さや厚みからから大剣と言うよりは鋼鉄の板と言った方が正しい気もする得物を軽々と俺に振り下ろして来る。
「ぐぉぉぉぉ!!!! 重い重い重い!!」
真上から俺を両断せんと振り下ろされた大剣を刀身で受けたは良いもののその衝撃が全身を駆け巡る。
骨の軋む音が、床がひび割れる音が酷く耳に響く。
受け止めるのが精一杯!! 受け流して反撃と思ったけどそれを許さない圧倒的な重量!!
「俺だって伊達に鍛えてねぇんだよ!!!!」
ようやっと押し戻す事に成功した。
「やっぱりそう来なくちゃな!! 俺達のいる牢から逃げ出そうってんだ。これくらいで潰れてくれちゃ困る!」
その言葉が俺の耳に入ると同時、「さっきはまじで力抜いてたよ」と言わんばかりの大剣の連撃が襲い掛かる。
てか大剣の連撃って何? 一撃必殺の重みが魅力なのにその武器の特性を失った必殺の連撃叩き込んで来ないで?
「ぐわぁぁぁぁッ!!!! 死ぬッ!! 死んじゃうッ!!」
「本当に死にそうな奴は『死ぬ』なんて言葉に出さないよなァ!? もっと強く! 速くやっても大丈夫って事だよなァ!?」
振り下ろすスピードが更に早くなった!!
くっそぉ~! まだ秘密にしておきたかったけど使うしかない!!
【我流“防御剣術”流静・颯免】
俺は考えた。やっぱり目に見える攻撃位は全部捌きたいと。
だから指を鍛えた。細かな刀の動きを実現出来るように。
だから眼を鍛えた。どんな攻撃も視えるように。
「何!? さっきまで避けるのが精一杯だったろ? なんで急に全て弾けてるんだ!?」
全ての一撃を弾かれるとは予想外だったのか鬼も一度剣を構え直す。
「お前の攻撃が“視えた”。だから全部弾いた。それだけだ」
「そんな技術あるなら最初から使えよ......」
「悪いな。俺の親父ならこんな技使わなくても全部弾けるから、俺も試してみたくなったんだ。それよりそっちも、二人でかかって来なくて良いのか?」
エルフの女の方は動いている様子が無い......まだ婚期の話に怒ってるんだろうか?
「あら、私の事は心配しないで? もう動いているから」
「なに――――」
その瞬間、壁から出現した無数の光の矢が俺の全身を貫く。
「ガッ―――!!」
エルフの持っていた匣はいつの間にか巨大な弓に変化していた。
「そんな大きな弓......持ってたらいくらなんでも気付くわ俺でも......」
そう、彼女はなにも持っていなかった。俺は鬼の攻撃を避けつつもエルフの行動に気を配っていたが、一度もそんな大弓を出す素振りなど見せていなかった。
「あぁ、この匣が弓なんだけど、大きさは自在なのよ。だからさっきまでは爪先サイズで壁に光の矢を仕込んでたの。で、今は見せたいから大きくしてるだけ! 簡単でしょ?」
全身に穴が空き立ち上がれない俺に近付いてエルフの女が流暢に語る。
反則だろそんなの......
「終わりだな。こんな形で終わるのは俺としても不本意だが......お前が望んだ道だ。恨まないでくれよ」
動けない俺の頭をかち割ろうと大剣が振り上げられる。
しかし、その大剣が俺に振り下ろされる事は無かった。
「ッなんだ!? 俺の剣が急に重く......!」
「私の弓も!! なんで!?」
二人は使い慣れているだろう己の武器を持ち上げる事すら出来なくなっていたのだ。
「――――マツル君酷いよ~。逃げるなら僕も一緒に連れて行って欲しかったなー!」
後ろを振り向くとそこにいたのは寝起きで寝癖がこれでもかと付いたロージーだった。
「これで僕達は二対二......さぁ、条件共有の時間だ!!」
先に動いたのは鬼の男だった。
その長さや厚みからから大剣と言うよりは鋼鉄の板と言った方が正しい気もする得物を軽々と俺に振り下ろして来る。
「ぐぉぉぉぉ!!!! 重い重い重い!!」
真上から俺を両断せんと振り下ろされた大剣を刀身で受けたは良いもののその衝撃が全身を駆け巡る。
骨の軋む音が、床がひび割れる音が酷く耳に響く。
受け止めるのが精一杯!! 受け流して反撃と思ったけどそれを許さない圧倒的な重量!!
「俺だって伊達に鍛えてねぇんだよ!!!!」
ようやっと押し戻す事に成功した。
「やっぱりそう来なくちゃな!! 俺達のいる牢から逃げ出そうってんだ。これくらいで潰れてくれちゃ困る!」
その言葉が俺の耳に入ると同時、「さっきはまじで力抜いてたよ」と言わんばかりの大剣の連撃が襲い掛かる。
てか大剣の連撃って何? 一撃必殺の重みが魅力なのにその武器の特性を失った必殺の連撃叩き込んで来ないで?
「ぐわぁぁぁぁッ!!!! 死ぬッ!! 死んじゃうッ!!」
「本当に死にそうな奴は『死ぬ』なんて言葉に出さないよなァ!? もっと強く! 速くやっても大丈夫って事だよなァ!?」
振り下ろすスピードが更に早くなった!!
くっそぉ~! まだ秘密にしておきたかったけど使うしかない!!
【我流“防御剣術”流静・颯免】
俺は考えた。やっぱり目に見える攻撃位は全部捌きたいと。
だから指を鍛えた。細かな刀の動きを実現出来るように。
だから眼を鍛えた。どんな攻撃も視えるように。
「何!? さっきまで避けるのが精一杯だったろ? なんで急に全て弾けてるんだ!?」
全ての一撃を弾かれるとは予想外だったのか鬼も一度剣を構え直す。
「お前の攻撃が“視えた”。だから全部弾いた。それだけだ」
「そんな技術あるなら最初から使えよ......」
「悪いな。俺の親父ならこんな技使わなくても全部弾けるから、俺も試してみたくなったんだ。それよりそっちも、二人でかかって来なくて良いのか?」
エルフの女の方は動いている様子が無い......まだ婚期の話に怒ってるんだろうか?
「あら、私の事は心配しないで? もう動いているから」
「なに――――」
その瞬間、壁から出現した無数の光の矢が俺の全身を貫く。
「ガッ―――!!」
エルフの持っていた匣はいつの間にか巨大な弓に変化していた。
「そんな大きな弓......持ってたらいくらなんでも気付くわ俺でも......」
そう、彼女はなにも持っていなかった。俺は鬼の攻撃を避けつつもエルフの行動に気を配っていたが、一度もそんな大弓を出す素振りなど見せていなかった。
「あぁ、この匣が弓なんだけど、大きさは自在なのよ。だからさっきまでは爪先サイズで壁に光の矢を仕込んでたの。で、今は見せたいから大きくしてるだけ! 簡単でしょ?」
全身に穴が空き立ち上がれない俺に近付いてエルフの女が流暢に語る。
反則だろそんなの......
「終わりだな。こんな形で終わるのは俺としても不本意だが......お前が望んだ道だ。恨まないでくれよ」
動けない俺の頭をかち割ろうと大剣が振り上げられる。
しかし、その大剣が俺に振り下ろされる事は無かった。
「ッなんだ!? 俺の剣が急に重く......!」
「私の弓も!! なんで!?」
二人は使い慣れているだろう己の武器を持ち上げる事すら出来なくなっていたのだ。
「――――マツル君酷いよ~。逃げるなら僕も一緒に連れて行って欲しかったなー!」
後ろを振り向くとそこにいたのは寝起きで寝癖がこれでもかと付いたロージーだった。
「これで僕達は二対二......さぁ、条件共有の時間だ!!」