とりあえず、これでメンバーは決まった。
俺、ユキノ、フーコ、エミリア、ニール、アイザック、カリオン率いる獣人達。
あとは万全の準備を整えて、森へと行く。
今回は、ダンジョンが見つかるまで帰らないつもりだ。
「さて、再び森に来たわけだが……カリオン、前の洞窟の位置はわかるか?」
「はっ! 我らが覚えております!」
「感謝する。それでは、後ろから指示を出してくれ。アイザック、前衛を頼む。あとは、前と一緒でいくぞ。俺とユキノ、エミリアとニールが続く」
「へいっ!」
すると、フーコが俺の足元をチョロチョロして見上げる。
「コン?」
「ん? お前は俺の側にいなさい」
「コンッ!」
「「いいなぁ」」
「……えへへ」
「……ほほほ」
なぜが、エミリアとユキノが同じことを言った。
そして、お互いに気まずそうな顔をしている。
嫌な予感がするので、それを無視して探索を始めるのだった。
◇
幸いなことに、前に探索したのが効いたのか……魔物の数が少ない。
小物だが、生きている魔獣もちらほら見かける。
つまり、生き物が帰ってきたということだ。
「これなら、以前より早く行けそうだ」
「そうっすね。木を伐採してる連中も、最近はやりやすいって言ってましたぜ」
「それは効率も上がるしいいことだ。そうなると、いよいよ建物とかを建てていくか」
「ここで寝泊まりとかする奴もいるんで、あったら助かりやす」
「帰ったら、ドワーフ族に相談してみるか」
そんな会話ができるくらいには余裕がある。
フーコは楽しいのか物珍しいのか、辺りをキョロキョロしている。
「おい、あんまり離れるんじゃないぞ?」
「コンッ!」
「まるで散歩気分だな」
「今はいいんじゃないですか? ずっと気を張っていても仕方ないですし」
「まあ、それもそうか……こういう時は、お前の呑気さが助かるな」
フーコがいるということで、いつも以上に気を張ってきたらしい。
リーダーの俺がそんなでは、周りの奴らも気を使うだろう。
何より、くると決めたのはフーコだ……あんまり過保護なのは失礼かもしれない。
「えへへー、惚れ直しちゃいました?」
「その前提だと、俺がお前に惚れてることになるが?」
「ちょっと!? そうなのですか!?」
「だァァァ! エミリア! どうして腕を組むっ!?」
「どうしてって言われましても……こうすれば寒くないですわ」
「ずるいですっ!」
「お前もか! ブルータス!」
右腕にはユキノ、左腕にはエミリアが抱きついている。
当然、柔らかなモノが当たるわけで……火属性魔法も使ってないのに暑くなってくる。
ちなみにブルータスのネタがわかる奴は昭和生まれの可能性大……知らんけど。
「というか、それを着てれば寒くないだろうに」
「確かに、頂いた熊の毛皮コートはあったかいですわ。ですが、それとこれとは話が別ですの」
「むむむっ……エミリアが積極的になってきましたね。これは戦争の予感がします」
「なんの戦争だよ」
「コンッ!」
「はいはい、お前も足にくっつくんじゃないよ」
幾ら何でも気を抜きすぎてはないだろうか。
……まあ、それくらいの方がいいか。
今回は、長丁場になりそうだからな。
◇
結果的に、気を抜いていて良かった。
その後も大した敵に会うこともなく、どんどんと進んでいく。
そして、明るいうちに以前来た洞窟に到着するのだった。
ただ初めての場所で疲れたのか、フーコは寝てしまった。
「兄貴、こっからどうしやす?」
「ここを拠点として探索をしよう。穴の中は寒さを凌げるし、防御面でも使える」
「何か来たら、私かアルスの魔法で一網打尽ですものね」
「そういうことだ。もちろん、交代で外には見張りについてもらう」
話し合いを済ませたら、前にボスがいた場所に行き、簡易拠点を構える。
テントに焚き火、わらで敷いた敷物、これだけでも十分だ。
魔石を採掘した奥には隙間もあるので、火をつけていても安心だ。
「さて、飯を用意しに行くか」
「兄貴が行かなくても、俺らが行きますぜ?」
「ええ、我らにお任せを」
「いつもアイザックとカリオンにやらせちゃ悪いからな。たまには、俺も動かんと」
すると、ニヤニヤしたユキノが近づいてくる。
こういう顔は、俺をからかう時だ。
「でもでも、ご主人様は森の中では役立たずですよ? 」
「おい? 俺は剣も使えるっての」
「戦いじゃなくて狩りなんですってば。平原で襲ってくる魔獣を狩るとは違うんですって。それにご主人様の剣は、基本的には待ちの剣でしょ? ご主人様に任せてたら、夜になっちゃいますよー」
得意げに言う姿は、まるで俺が狩りを知らないような言い方だ。
最近、ご主人様としての威厳がない気がする。
ここらで、教えてやるとするか。
「ぐぬぬっ……いや、そこまで言われちゃ引き下がれんな。ユキノ、お前には一度しっかりと教えてやられはなるまい——この元ボーイスカウトの俺の実力を」
「……ボーイスカウト? なんですか?」
「とにかく! 俺も狩りに出る。ここなら守る分には楽だし、カリオンやエミリアがいればいいだろう。俺とユキノ、どっちが獲物を早く獲ってくるか勝負と行こうじゃないか」
「……えへへ、いいですねー。泣いて後悔しても遅いですからね?」
「男に二言はない」
そして公平を期すため俺とニール、アイザックとユキノという組み合わせになった。
日が暮れる前という期限を決め、俺たちは洞窟から出ていく。
俺、ユキノ、フーコ、エミリア、ニール、アイザック、カリオン率いる獣人達。
あとは万全の準備を整えて、森へと行く。
今回は、ダンジョンが見つかるまで帰らないつもりだ。
「さて、再び森に来たわけだが……カリオン、前の洞窟の位置はわかるか?」
「はっ! 我らが覚えております!」
「感謝する。それでは、後ろから指示を出してくれ。アイザック、前衛を頼む。あとは、前と一緒でいくぞ。俺とユキノ、エミリアとニールが続く」
「へいっ!」
すると、フーコが俺の足元をチョロチョロして見上げる。
「コン?」
「ん? お前は俺の側にいなさい」
「コンッ!」
「「いいなぁ」」
「……えへへ」
「……ほほほ」
なぜが、エミリアとユキノが同じことを言った。
そして、お互いに気まずそうな顔をしている。
嫌な予感がするので、それを無視して探索を始めるのだった。
◇
幸いなことに、前に探索したのが効いたのか……魔物の数が少ない。
小物だが、生きている魔獣もちらほら見かける。
つまり、生き物が帰ってきたということだ。
「これなら、以前より早く行けそうだ」
「そうっすね。木を伐採してる連中も、最近はやりやすいって言ってましたぜ」
「それは効率も上がるしいいことだ。そうなると、いよいよ建物とかを建てていくか」
「ここで寝泊まりとかする奴もいるんで、あったら助かりやす」
「帰ったら、ドワーフ族に相談してみるか」
そんな会話ができるくらいには余裕がある。
フーコは楽しいのか物珍しいのか、辺りをキョロキョロしている。
「おい、あんまり離れるんじゃないぞ?」
「コンッ!」
「まるで散歩気分だな」
「今はいいんじゃないですか? ずっと気を張っていても仕方ないですし」
「まあ、それもそうか……こういう時は、お前の呑気さが助かるな」
フーコがいるということで、いつも以上に気を張ってきたらしい。
リーダーの俺がそんなでは、周りの奴らも気を使うだろう。
何より、くると決めたのはフーコだ……あんまり過保護なのは失礼かもしれない。
「えへへー、惚れ直しちゃいました?」
「その前提だと、俺がお前に惚れてることになるが?」
「ちょっと!? そうなのですか!?」
「だァァァ! エミリア! どうして腕を組むっ!?」
「どうしてって言われましても……こうすれば寒くないですわ」
「ずるいですっ!」
「お前もか! ブルータス!」
右腕にはユキノ、左腕にはエミリアが抱きついている。
当然、柔らかなモノが当たるわけで……火属性魔法も使ってないのに暑くなってくる。
ちなみにブルータスのネタがわかる奴は昭和生まれの可能性大……知らんけど。
「というか、それを着てれば寒くないだろうに」
「確かに、頂いた熊の毛皮コートはあったかいですわ。ですが、それとこれとは話が別ですの」
「むむむっ……エミリアが積極的になってきましたね。これは戦争の予感がします」
「なんの戦争だよ」
「コンッ!」
「はいはい、お前も足にくっつくんじゃないよ」
幾ら何でも気を抜きすぎてはないだろうか。
……まあ、それくらいの方がいいか。
今回は、長丁場になりそうだからな。
◇
結果的に、気を抜いていて良かった。
その後も大した敵に会うこともなく、どんどんと進んでいく。
そして、明るいうちに以前来た洞窟に到着するのだった。
ただ初めての場所で疲れたのか、フーコは寝てしまった。
「兄貴、こっからどうしやす?」
「ここを拠点として探索をしよう。穴の中は寒さを凌げるし、防御面でも使える」
「何か来たら、私かアルスの魔法で一網打尽ですものね」
「そういうことだ。もちろん、交代で外には見張りについてもらう」
話し合いを済ませたら、前にボスがいた場所に行き、簡易拠点を構える。
テントに焚き火、わらで敷いた敷物、これだけでも十分だ。
魔石を採掘した奥には隙間もあるので、火をつけていても安心だ。
「さて、飯を用意しに行くか」
「兄貴が行かなくても、俺らが行きますぜ?」
「ええ、我らにお任せを」
「いつもアイザックとカリオンにやらせちゃ悪いからな。たまには、俺も動かんと」
すると、ニヤニヤしたユキノが近づいてくる。
こういう顔は、俺をからかう時だ。
「でもでも、ご主人様は森の中では役立たずですよ? 」
「おい? 俺は剣も使えるっての」
「戦いじゃなくて狩りなんですってば。平原で襲ってくる魔獣を狩るとは違うんですって。それにご主人様の剣は、基本的には待ちの剣でしょ? ご主人様に任せてたら、夜になっちゃいますよー」
得意げに言う姿は、まるで俺が狩りを知らないような言い方だ。
最近、ご主人様としての威厳がない気がする。
ここらで、教えてやるとするか。
「ぐぬぬっ……いや、そこまで言われちゃ引き下がれんな。ユキノ、お前には一度しっかりと教えてやられはなるまい——この元ボーイスカウトの俺の実力を」
「……ボーイスカウト? なんですか?」
「とにかく! 俺も狩りに出る。ここなら守る分には楽だし、カリオンやエミリアがいればいいだろう。俺とユキノ、どっちが獲物を早く獲ってくるか勝負と行こうじゃないか」
「……えへへ、いいですねー。泣いて後悔しても遅いですからね?」
「男に二言はない」
そして公平を期すため俺とニール、アイザックとユキノという組み合わせになった。
日が暮れる前という期限を決め、俺たちは洞窟から出ていく。